月次市場見通し:企業利益の増加とアジア諸国の脱オイル
By Daniel Morris, Chief Market Strategist; Alessandro Tentori, Chief Investment Officer, Europe; Chi Lo, Senior Market Strategist, Asia Pacific …
05/08/26
By Daniel Morris, Chief Market Strategist; Alessandro Tentori, Chief Investment Officer, Europe; Chi Lo, Senior Market Strategist, Asia Pacific …
05/08/26
By DANIEL MORRIS 31.07.2026 米S&P500指数の約半数の企業が4-6月期決算を発表しましたが、この決算発表シーズンはこれまでのところ「大成功」と呼べるほど素晴らしいものでした。S&P500指数の4-6月期の利益は前年同期比で26%の増加となっています。テクノロジー企業の比率が高い株価指数は、人工知能(AI)関連の大規模な設備投資によって、より高水準の増益率となっています。ナスダック100指数の増益率は43%に達しています。さらに際立っているのが新興国市場で、テクノロジー企業の好業績によって増益率は2倍超(105%)に達しています。 さらに、これらの利益は、全体的に市場予想も上回っています。通常、企業が発表する純利益は各四半期において市場予想を3〜4%程度上回るケースが多いですが、この4-6月期は、サプライズ比率(市場予想を上回った幅)は、5~30%超にわたっています。 決算発表シーズンの順調さを示す指標としては、ポジティブなフォワードガイダンスを提供する企業の割合がありますが、これも歴史的に見て高い水準で推移しており、かつ上昇傾向にあります。図表2に示したように、この割合は1年間にわたって長期平均を上回っており、足元で大きく改善していることが確認できます。 市場の反応 このような決算発表を受けて、株式市場は上昇していると予想されるかもしれません。しかし、多くの主要株価指数は7月に入ってマイナスのリターンとなっています。 足元の株価下落にはいくつかの要因があり、その中には一時的なものも含まれているでしょう。主なマイナス要因の一つは、7月に約20%上昇している原油価格があり、投資家は中東での紛争が再び激化することを懸念しています。原油価格に合わせて国債利回りも上昇しており、インフレ懸念が経済成長見通しに悪影響を与えているようです。 7月28-29日に米連邦準備制度理事会(FRB)が開催した連邦公開市場委員会(FOMC)は、さらに経済見通しに複雑さを加えました。FRBは利上げを見送ることを決定し、FOMC後の記者会見は総じてハト派的なものと解釈されたようです。一方で、市場関係者は、FRBのインフレ抑制に対する姿勢を確認するとともに、その目標達成に向けてどのような手段を用いるかについては依然として不透明であるとしています。 記者会見後、当面の利上げ観測が薄れたことで米2年債利回りは低下しましたが、長期債利回りは原油価格とともに上昇しました。米10年債利回りの方がドイツ10年債よりも上昇幅が大きく、インフレ見通しへの懸念やFRBからの情報不足によるタームプレミアム(期間にともなう上乗せ金利)が反映されている可能性があります。 一方、新興国のテクノロジー株は7月に大幅な調整となっており、韓国のハードウェア株や半導体株は6月のピークから2026年7月30日まで47%程度も下落し、その後は反発しています。この急落は台湾や米国のテクノロジー株にも波及しています。ただし、この急落にもかかわらず、韓国のテクノロジー株は年初来で79%、台湾株は49%上昇しているということに留意する必要があるでしょう。 他の市場はより耐性が強かったと言えます。MSCI欧州株指数は7月もプラス圏内にあり、ラッセル1000バリュー指数は堅調な企業利益を背景に7月に入って3%以上の上昇となりました(図表3参照)。 テクノロジー株の堅調な決算発表を見ると、新興国株式の7月の下落は、企業利益が根本的な再評価されたものというよりも、むしろ過剰なポジション調整や、収益見通しの修正によるものであることを示唆しています。この下落によってテクノロジー株の割高感は払しょくされ、今後数四半期にわたって利益が大幅に増加すると予想されていることから、いずれは持続的な回復が見込まれます。 一方、非テクノロジー株は総じて堅調に推移しており、とりわけ米国ではAI関連支出の波及効果と堅調な消費者需要によって支えられています。これらのサポート材料が近い将来に弱まる可能性は低いとみています。 過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。また、記載内容は、2026年7月30日現在の資本市場を説明したものであり、特定の金融商品への勧誘や推奨を意図したものではありません。(オリジナル記事は7月31日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
04/08/26
2026年上半期における世界のマクロ経済見通しは、中東紛争への懸念、人工知能(AI)への継続的な投資拡大という2つのテーマが焦点となりました。 原油価格の高騰は、エネルギー依存型の経済や個人消費にとって脅威となりました。一方で、AIへの設備投資によってデータセンター建設に必要な建設資材やネットワーク機器、その他の関連分野への需要が急増したことから、いくつかの経済圏において製造業の経済活動が活性化しました。 全体として、成長見通しは下方修正されたものの、その修正幅は限定的なものにとどまりました。 大きな懸念となっているのは、エネルギー価格の高騰がインフレに与える影響で、結果として、主要中銀はよりタカ派(金融引き締め)の姿勢を強めています。 市場は政策金利の引き上げを織り込み始めたものの、中東での紛争開始後、実際に金利を引き上げた主要中銀は欧州中央銀行(ECB)と日本銀行のみでした。 こうした世界的な情勢の中でのわずかな金融引き締めは、金融市場やクレジット需要の動向にほとんど影響を与えていないように思われます。世界経済は重大な供給ショックに直面しましたが、再びその底堅さを証明したと言えるでしょう。 より明るい先行き 米国とイスラエル、イラン間での停戦合意を背景に、2026年下半期の経済見通しは改善しました。 ホルムズ海峡を通るタンカーの航行が再開されたことを受けて原油先物価格は下落しました。ただし、石油やその他のエネルギー市場が正常化するには時間がかかる見込みで、消費者はエネルギーコストの高止まりに直面する可能性があります。それでも、エネルギー価格が紛争前の水準に戻りつつあることは、成長とインフレ見通しにとって明るい動きとなるでしょう。 エネルギー価格も含めたインフレ率はすでにピークを過ぎた可能性があり、中央銀行は利上げ期待を高めるような動きには消極的になっているとみられます。とはいえ、金融緩和が期待できる状況でもありません。金融政策に何らかの動きがあるとすれば、米連邦準備制度理事会(FRB)や英中銀(イングランド銀行)による緩やかな金融引き締めが依然として有力視されます。 投資家は、今後数カ月のインフレ動向に注目し、どのような二次的影響が生じたか、また長期的なインフレ期待が払拭されたかどうかを評価することになると思われます。当社の見解としては、インフレ期待はまだ完全に払拭されておらず、中東での紛争が再燃するリスクもあるとみています。しかし、基本的な見通しはより楽観的で、先進国および新興国経済の成長がある程度は改善する可能性が高いでしょう。 AIのバリューチェーンに属する一部の企業の収益性について疑問の声も上がっているものの、AIインフラ(半導体、PCハードウェア、データセンター)への投資に加えて、企業によるAI製品の導入に向けた投資は、いずれも今後も成長の追い風となり続けると予想しています。 債券市場の見通し:良好なリターン獲得へ 中央銀行が当面の間、現在の政策金利水準を維持できそうな状況であることから、2026年下半期の債券市場は堅調になる可能性があります。 ハイイールド債などのインカムリターンが高いセクター、インフレ連動債、あるいは金利感応度(デュレーション)が限定的であるセクターは、上半期に好調なパフォーマンスを示しました。当社では、ハイイールド債や新興国債券は、下半期も堅調なパフォーマンスを維持するとみています。 主要国の国債利回りは、名目GDP成長率から適切な水準と言える範囲内で落ち着いているようです。そして、これらの国債利回りは、世界金融危機後の平均的な水準を上回っています。 中央銀行はもはや長期金利を抑制することを目的とした金融政策を追求していないため、現在の長期金利の水準は、金融危機以前に見られたように、マクロ経済情勢をより強く反映したものとなっています。 大まかな目安として、米国の10年債利回りは4.25~5.0%程度の範囲と想定され、欧州国債はソブリン・スプレッドに応じて(イタリア、スペインなど周縁国の利回りはいずれもドイツの利回りより若干高くなる)、2.5%~4.0%程度の範囲に落ち着くと想定しています。 インカムリターンを重視する理由 もちろん、構造的なインフレ率の上昇や政府債務の水準について、長期的な懸念はあります。しかし現時点で、主要国債利回りは安定しており、それがクレジット市場に対する楽観的な見方につながっているようです。…
13/07/26
2026年の社債市場は堅調なスタートを切りましたが、その後、状況は大きく変わりました。年初はマクロ経済に対する楽観的な見方が多かったものの、その後、市場は二度のショックに見舞われました。まず、人工知能(AI)の創造的破壊に起因したプライベートクレジット市場の混乱です。次に、中東紛争が勃発し、スタグフレーションの懸念が再燃しました。ただし、こうした状況にもかかわらず、社債市場は全般的に底堅く推移していると言えるでしょう。 AIによる創造的破壊 社債市場を取り巻く投資環境は年初の時点では、いくつかの好材料によって支えられました。世界の経済成長に回復する兆候が現れてきた一方でインフレが減速し、中央銀行にとっては金融緩和政策を継続する余地が生じたことが、投資家に安心感をもたらしました。 全体的に、信用スプレッドが引き続き抑制されており、社債の発行市場も活況が続くとの見方が一般的でした。 しかし、その後、世界は変わりました。当初、この変化を引き起こした主因は、テクノロジーやITサービス、メディアなどの分野のビジネスモデルに対してAIが引き起こした創造的破壊への懸念でした。 この影響を直ちに受けたのはソフトウェア業界で、AIがもたらし得る変革によって既存のビジネスモデルが駆逐され、これまでの収益源がなくなるおそれが生じました。 こうした状況は、ソフトウェアやIT業界に多額の債権を抱えるプライベートクレジット市場に波及しました。AIの影響が不透明な中で投資家の安心感が低下するにつれて、これらの分野で特にストレスが高まったものとみられます。 中堅企業やプライベート・デット・グループに融資することが多い事業開発会社(BDC)がそのプライベートクレジット・ファンドからの引き出しを制限したことが状況をさらに悪化させました。こうした動きはBDC全体に解約ラッシュを引き起こし、それがさらに投資家を不安にし、市場のボラティリティが高まりました。 ユーロ建て社債の投資家にとっては、ソフトウェア・セクターが投資適格債指数とハイイールド債指数に占める割合はともに非常に小さいため、BDCへの直接的なエクスポージャーも限定的でした。とはいえ、この出来事は、プライベート(未上場)とパブリック(上場)のクレジット市場全体にまたがる波及リスクを喚起し、流動性管理の必要性を改めて認識させるものとなりました。 地政学的緊張が状況を複雑化 イラン紛争の勃発がニュースの中心となり、マクロ経済の先行き不透明感が高まりました。コモディティ価格の高騰やサプライチェーンが混乱するのではないかとの懸念も強まったことで、経済成長やインフレ、金融政策に関する投資家の見通しは、この紛争によって根本的に変化しています。 原油価格の上昇が長期化しサプライチェーンの制約が続くとの見通しから、経済成長の停滞とインフレの上昇が同時に生じるスタグフレーションの懸念が高まりました。その結果、2022年の市場の動きを彷彿させる金利急騰が生じ、とりわけイールドカーブ(利回り曲線)における短期ゾーンが急上昇しました。 こうした短期債市場のパフォーマンス悪化は、強力な金融引き締めや継続的なインフレ圧力への懸念を反映しています。対照的に、クレジット市場の反応はより落ち着いたものとなっています。地政学的リスクからスプレッドは拡大しましたが、一部が予想していたほどには大幅な拡大になりませんでした。 ユーロ建ての投資適格債市場とハイイールド債市場の信用スプレッドは3月にそれぞれ約10bp(0.10%)と55bp(0.55%)拡大しました。スプレッドがそれぞれ25bpと105bp拡大した昨年の「解放の日」(トランプ米大統領が相互関税を発表した2025年4月2日を指す)と比べると、今回の局面では需給面での市場の力強さが示されたと思われます1。 利回りの上昇 金利上昇は、スプレッドを拡大させた一方で全体的な利回り環境の改善にもつながりました。利回りの上昇はインカム収入を求める投資家にとって魅力的であるため、投資家の新たな買いによって、社債市場には資金が流入しました。 投資適格債指数のクレジットスプレッドはこの期間で小幅ながらも10bp拡大しており、セクター別で見ると不動産、自動車、劣後債がアンダーパフォームしました。 公益事業、生活必需品、通信など、混乱期には底堅い資産と認識されているディフェンシブセクターは下げ渋りました。また、ハイイールド債市場のスプレッドは55bp拡大し、特にシングルBやCCCといった低格付け債市場のスプレッド拡大が目立っています2。 市場動向と投資家心理 いくつかの問題がありましたが、発行市場は引き続き非常に活況を呈しています。2026年第1四半期(1-3月)の新規発行は約2,250億ユーロとなり、2025年第1四半期とほぼ同水準となりました。ハイイールド債の発行は約180億ユーロでした3。…
16/06/26
サステナブル投資を取り巻く環境はここ数年で大きく変化しました。サステナブル投資は、かつてはニッチな、あるいは二次的なものでしたが、今では多くの投資家のポートフォリオ構築に欠かせないものとなっています。とりわけ、欧州やアジアなどの機関投資家による投資が顕著に見られます。 さらに、こうした機関投資家は今後数年間でサステナブル投資への資金配分を増やそうとしています。最近の調査によれば、アセットオーナーの86%が、今後2年間でポートフォリオに占めるサステナブル投資の割合は上昇するとみており、その主な理由の1つとしてサステナブル投資のパフォーマンスが好調であることを挙げています1。これは実に心強いデータです。 気候変動対策は、依然としてBNPP AMのお客様にとって最重要課題であり、今後もそれは変わらないとみています。「社会」に焦点を当てた戦略の伸びは予想よりも緩やかなものとなっていますが、市場は引き続きエネルギー移行やより広範な「環境」テーマに強い関心を寄せています。 様々な気候関連戦略 気候関連投資で万能なアプローチはありません。気候関連投資には様々なものがあり、目的や資産クラスによって適合する戦略は異なります。 投資家がとりうるアプローチは大きく分けて2つあり、1つは脱炭素化に焦点を当てたもの、もう1つは気候ソリューションに焦点を当てたものです。 脱炭素戦略は、排出量が多く炭素強度が依然として高い企業と、移行の可能性が見込まれる企業からなるポートフォリオで構成される傾向があります。この戦略の目的は、炭素強度の高い企業をブラウンからオリーブへ、最終的にはグリーンな企業へと徐々に移行させることです。 この脱炭素化アプローチは、様々な資産クラスやセクター、地域に関する投資戦略に組み込むことが可能で、オープンエンド型ファンド、上場投資信託などの金融商品にも組み込みやすいと言えます。 気候ソリューション戦略は、環境問題に対処する製品やサービスを提供する企業に投資します。債券の場合、一般的な投資対象はグリーンボンド、つまり、調達した資金の使途が環境に有益なプロジェクトに限定される債券への投資となります。 この債券の主なメリットの1つは高い流動性であり、サステナブル債券に特化したファンドにおいて、あるいはより広範な債券ポートフォリオの一部として非常に組み入れやすい金融商品です。さらに、調達資金の使途の面で投資家に安心感を与える厳格なグリーンボンドの枠組みを伴うため、透明性が高いこともメリットとして挙げられます。 BNPP AMがもう一つの強力な投資機会とみているのは、世界の最も差し迫った気候変動や環境の課題に対応した製品・サービスを提供する企業によって構成される上場株式戦略です。 AIとサステナビリティ:進化する両者の関係 サステナビリティについて考える際、人工知能などのイノベーションが投資先企業の長期見通しをどのような影響があるかという点を検討することが重要です。AIが様々なセクターや経済全体に対する影響を強めており、AIがもたらすメリットや環境的、社会的課題を投資の判断材料として取り入れることがこれまで以上に求められています。 大手テクノロジー企業は、通常、AI開発を支えるデータセンターなどで大量のエネルギーと水を消費します。これらの企業の中にはAI能力の拡大に伴って排出量が増加しているものもありますが、多くはデータセンターの電力源を再生可能エネルギーに移行しつつあり、そのために再生可能エネルギー企業を買収した事例さえあります。再生可能エネルギーは歴史的に価格が低下傾向にあるため、より採算が取れやすくなることも予想されます。 当社では、AIが、現在私たちが直面している環境問題の解決策の一部になりうると考えています。例えば、AIは膨大な量のデータ分析を通じて気象パターンの予測に寄与することができます2。AIは現在、より効率的な電池の設計3、再生可能エネルギー送電網の最適化4、電力消費量を削減する建物設計・管理の支援5、メタン漏れを検出するための衛星画像の分析6のツールなど、様々な場面で使用されています。 もちろん、AIに仕事を奪われるといった社会的な懸念も引き起こしています。しかし、AIによって数百万人の新しい雇用が創出されるとの研究もあります7。 構造的変化 ウクライナ戦争勃発後の不確実性は、エネルギー安全保障の重要性と化石燃料への依存を大幅に減らす必要性を浮き彫りにしました。今年に入って中東紛争が再びその関心を呼び起こし、エネルギー移行の必要性をさらに強めました。…
29/05/26
ブレント原油が4月17日に1バレル99ドルという最近の安値(イラン紛争前の価格は71ドル程度でしたが)を付けてから原油価格は再び上昇し、一時は124ドルまで上昇した後、5月14日時点では106ドル程度で推移しています。この期間、S&P500指数は5.3%の上昇、MSCIワールド指数(除く米国)は0.6%の下落となっています(現地通貨ベース)。 しかし、決算発表シーズンが終わり、中東情勢に関する好意的でないニュースが続いた場合、市場はこれを相殺する好材料を見つけるのに苦労するかもしれません。ただし、米国では経済データが好材料になる可能性はあります。 米国の非農業部門雇用者数は、4月も総じて堅調な雇用創出を示しました。ヘルスケアセクターが再び最大の雇用増を記録していますが、米国の高齢化に伴い、このセクターの雇用創出は数十年にわたるトレンドになっています。より重要なのは、労働市場のほとんどのセクターで雇用が増加しているということです。 金融や情報セクターの雇用減少は、人工知能(AI)による雇用破壊の兆候とも受け取られているようです。雇用削減に関するニュースが多いことを勘案すると、AIの影響もあるかもしれませんが、現時点ではAIだけの影響とは考えにくいでしょう。なぜなら専門サービスの雇用は増加基調にありますし、金融セクターの雇用減は(動きの遅い)保険業界に集中し、情報セクターの雇用減は主に映画産業によるものとなっているからです。 成人の失業率が4%未満で安定し、賃金の伸びも好調であるため、現時点で米国の労働市場に問題は見られません。これが、ガソリン価格の高騰にもかかわらず消費需要が安定しているとの見方につながっていると思われます。実際に、4月の小売売上高(ガソリン除くコア)は前月比0.5%増を記録しており、こうした見方を裏付けています。 欧州とアジアにおける経済的背景の相違 対照的に、ホルムズ海峡が閉鎖され、石油在庫の減少がさらなる価格高騰を招く中で、欧州はリスクにさらされています。最近の経済指標を見ても、米国ほど明るいものではありません。 サービス業の購買担当者景気指数(PMI)は、4月は欧州の主要国で低下し、景気拡大から景気縮小に近づくか、実際に景気縮小を意味する50を下回りました。米国のサービス業PMIは安定かつ改善を示しており、セクター業の企業活動の拡大を示しました。 年初来の欧州株式のパフォーマンスと、同様のセクター構成を持つ米ラッセル・バリュー指数を比較してみると、こうした両者の経済的背景の相違が反映されています。米国とイランの紛争勃発までのリターンはほぼ同水準で、2月末まではいずれも7%程度の上昇でした。しかし、それ以降の欧州株式は3%下落し、米国のバリュー株は4%の上昇となっています(執筆時点) 中国(およびアジア全般)も、今回の危機の影響を強く受けています。中国における信用の伸びは鈍化し、PMIは景気拡大を意味する50をわずかに上回っている程度です。輸出が中国経済を支えてきましたが、これも持続可能な戦略とは言えません。 安価な中国製品の輸入によって苦しんでいる国々は、自国の産業基盤への懸念から将来的には貿易制限を強化することも考えられます。 イラン戦争は、すでに脆弱だった中国経済の問題を単に悪化させただけとも言えるでしょう。中国株式(テクノロジーを除く)は、年初来で新興国市場全体を下回るパフォーマンスを続けています。 テクノロジー分野におけるパフォーマンスの差はさらに大きいものとなっています。台湾と韓国のテクノロジー株はそれぞれ年初来で58%と157%上昇している一方、中国のテクノロジー株は12%下落しています(執筆時点)。 中国株の投資家は、5月14日~15日に開催される米中首脳会談が2つの超大国の関係に実質的な改善をもたらすことに期待することになるでしょう。 企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。また、記載内容は、2026年5月14日現在の資本市場を説明したものであり、特定の金融商品への勧誘や推奨を意図したものではありません。 (オリジナル記事は5月15日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
15/05/26