By Daniel Morris, Chief Market Strategist; Alessandro Tentori, Chief Investment Officer, Europe; Chi Lo, Senior Market Strategist, Asia Pacific
- ポジティブな企業決算が株価を押し上げ
- クレジット市場の耐性
- アジア諸国の再生エネルギーへの移行
バランスはポジティブに傾く
株式市場では、2つの相反する要因がバランスしてきました。プラスの要因というのは、非常に力強い企業決算です。ブルームバーグのデータによると、7月末までのS&P500指数の企業による決算発表では約30%の増益を記録しており、その結果(利益サプライズ)は市場予想を12%程度も上回るものでした(通常の利益サプライズは3~4%程度となるケースが多い)。また、テクノロジー企業の比重が大きい株価指数ではさらに力強いものとなりました。一方で、新興市場のテクノロジー株の急落、米国とイランの紛争再燃、そして米連邦準備制度理事会(FRB)の新議長ケビン・ウォーシュ氏の就任に伴い金利上昇への懸念が高まりました。今後の焦点は、これらの要因のうちのどれが持続するかということです。
企業利益が堅調であるだけでなく、企業の業績ガイダンスも非常に良好なものとなっており、企業の増益トレンドという要因は継続することが示唆されています。また、テクノロジー株は7月末にあたりから反発しており、依然としてファンダメンタルズが堅調であることを反映していると考えられます。米国のデュレーションについては、中立的な立場をとっています。経済データが引き続き市場予想を上回る場合、今後数ヶ月は金利上昇リスクがあるため、フォワード予想(先行き予想)は高めに設定しています。そして、中東情勢は依然として不確定要素で、紛争が悪化するシナリオも可能性はありますが、市場への下方リスクは限定的であると考えています。したがって、今後の株価見通しはポジティブな方向に傾いているとみています。
インカム重視、デュレーションは限定的に
米国およびユーロ圏のクレジット市場は、4年ほど継続して好条件に恵まれています。潜在的なリスク要因や地政学的緊張が依然として存在するものの、投資適格債およびハイイールド債のスプレッド(利回り差)は、いずれも過去最低水準に近い状態にあります。とりわけ、前例がないほど国債のボラティリティが高く、フラットなイールドカーブ(利回り曲線)からの分散投資を検討している投資家にとって、ハイイールド市場は潜在的な投資機会を提供していると思われます。財政赤字と対GDP債務比率の上昇が続く世界情勢において、デュレーションを戦略的な手段として捉えることは容易ではありません。
一方で、インカムを重視し、金利エクスポージャーを限定させ、かつ格付けが改善しつつある銘柄に注目すれば、(中小企業を含めて)テクノロジー導入による生産性向上から恩恵を受けることが見込まれます。例えば、米国ハイイールド債の1〜3年セグメントは、現在デュレーションが2年未満でありながら利回りは7.5%近くに達しており、魅力的なインカム機会となる可能性があります。これは、ヘッジコストを考慮した後でも、ユーロ建ての同セグメントより約90ベーシスポイント(0.90%)高い利回りとなっています。
石油からグリーンエネルギーへ
中東紛争に起因するエネルギーショックは、湾岸地域からの石油輸入に大きく依存しているアジア諸国に衝撃を与えました。これにより、アジア諸国は政府・民間を問わず、湾岸地域へのエネルギー依存度を下げ、再生可能エネルギーへの移行を加速させる方法を模索し始めています。アジアにおけるエネルギー移行の取り組みはまだ初期段階にあり、再生可能エネルギーが全消費量に占める割合はわずか(エネルギーコンサルタントJKempEnergy社によれば約10%)であるため、その潜在性は極めて大きいと言えます。
中国は、大規模な再生可能エネルギー設備を構築し、アジアのエネルギー移行の最前線に立っています。特に太陽光発電は、石炭、石油、ガス、さらには原子力発電よりも大幅にコストが低く、再生可能エネルギー分野をけん引しています。中国は2021年から2025年の間に、太陽光発電容量を約300%引き上げるという大幅な増強を実現しました。これは、他のアジア諸国における太陽光エネルギーの導入の遅さと比べて対照的な動きとなっています。
私たちは、アジア諸国が再生可能エネルギー分野への投資を通じて、追いつく余地は十分にあると考えています。今回のエネルギーショックのような危機が再発する可能性が高まることは、アジア諸国が今後数年間でエネルギー移行を加速させる重要な原動力となるでしょう。
資産クラス別概要
表明された見解は、資産クラスのリターンおよびリスクに関する BNPP AMの予想を反映しています。各色は長期的に観測される動向と比較した今後3~6か月のリターンの見通しを示しています。
当市場見通しは、BNPP AMの予想を示したものであり、資産配分を含む投資に関する推奨や助言を意図したものではありません。
| 金利 | ||
| 米国債 | = | 経済データが引き続き市場予想を上回る場合、今後数ヶ月は金利上昇リスクが高まるため、フォワード予想を引き上げ |
| ユーロ – 中核国国債 | = | ECB が年内 2 回の利上げを織り込む中、利回りは高水準で安定している |
| ユーロ – 周辺国国債 | = | イラン危機への財政対応はこれまでのところ限定的で、イタリアとスペインの財政状態は 2022 年よりも良好とみられる |
| 英国債 | + | 行き過ぎたインフレと財政懸念から、低迷が続く。政治的リスクによって長期債利回りは高止まりする可能性があるが、市場の金利上昇予想は行き過ぎている |
| 日本国債 | = | 日銀は危機的環境下での利上げには慎重な姿勢 |
| インフレ連動債 | + | インフレ連動債のキャリーは夏まで上昇し、短期債戦略が有効な可能性 |
| クレジット | ||
| 米ドル投資適格債 | = | スプレッドはイラン危機前より拡大したが、金利と成長リスクの影響を受ける。短期社債を選好する |
| ユーロ投資適格債 | = | 利回りへの需要がテクニカル面で後押ししているが、スプレッドの縮小に伴い相対価値は再び悪化 |
| 英ポンド投資適格債 | + | 長期投資家にとって魅力的な利回りだが、英国債が依然としてボラティリティを高める要因に |
| 米ドルハイイールド | + | 市場はソフトウェア・エクスポージャーに対する懸念を払拭し、魅力的な利回りに |
| ユーロハイイールド | + | 6% 近い利回りは、投資適格債に対して魅力的な相対的価値を提供 |
| 新興国ハードカレンシー | = | 3 月以降堅調なパフォーマンスと魅力的な利回りが続いているが、マクロリスクは残る |
| 新興国現地通貨 | + | エネルギー見通しが明確になれば、現地通貨は金利引き下げの余地がある |
| 株式 | ||
| 米国 | + | S&P500企業の4-6月期の増益率は市場予想を上回り、株価バリュエーションも引き続きサポート要員に |
| ユーロ圏 | + | 事業活動の改善が見られ、エネルギー分野だけでなく幅広いセクターで1株利益(EPS)見通しの上方修正が進んでおり、米国企業との格差が縮小 |
| 英国 | = | 金利上昇は引き続き経済成長の減速要因に。ディフェンシブ・セクターは相対的に堅調に推移 |
| 日本 | = | 財政拡大は内需関連セクターを下支えするとみられるが、バリュエーションが再評価されており、利益見通しには勢いが欠ける |
| 中国 | – | 中国の経済成長は引き続き低調。戦略的産業に的を絞った景気刺激策が講じられる可能性は高まっているものの、具体的な措置が打ち出されるのを待って再評価の予定 |
| グローバル新興国市場 | = | 半導体関連銘柄の収益は引き続き堅調で、韓国・台湾株に恩恵をもたらしているが、高水準の借入によって調整局面に入るリスクも |
| 投資テーマ* | + | AI ハードウェア、スマートグリッド、炭素移行戦略が長期的に有望 |
* BNPP AMでは、企業が活用している6つのメガトレンドを特定しました。これらは、進化する世界経済を乗り切って行くのに最適な位置にあると考えるものです:自動化とデジタル化、消費者の傾向と長寿化、エネルギー転換、生物多様性、自然資本
出所:BNPパリバ・アセットマネジメント、2026年7月末現在
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