Chris Iggo

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アクサIM 資産運用研究所議長、アクサIM コア CIO、BNPパリバ・アセットマネジメント(以下、BNPPAM)

Bio

クリス・アイゴーは、コア・インベストメントの最高投資責任者(CIO)です。全資産クラスのポートフォリオ・マネージャーのために、リサーチ、クオンツラボ、責任投資の各チームのインサイトを結集しています。

以前は、 アクサIM 債券部門の CIOと、欧州およびアジアのアクティブ運用債券部門ヘッドを兼務。グローバルな運用プロセスを統括し、パフォーマンスおよび戦略・ファンド開発などを含め、欧州とアジアの全アクティブ運用チームのマネジメントを担当。

アクサIM入社当時はシニア・ストラテジストを務め、その後2008年に債券 CIO に就任。2014年に欧州およびアジアの債券部門ヘッドに就任。

アクサIM へ入社する前は、カザノブ・ファンド・マネジメントでストラテジーヘッドとして5年、バークレイズ・キャピタルに米国チーフ・エコノミスト (ニューヨークオフィス)および欧州チーフ・エコノミストとして4年在籍。それ以前は、チェース・マンハッタン銀行のロンドンおよびニューヨークのオフィスに7年勤務し、エコノミストや外国為替ストラテジストを歴任。ロンドン大学経済学修士号および学士号取得。

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2026年下半期の見通し:株式および債券投資家にとって先行きは引き続き明るい

2026年上半期における世界のマクロ経済見通しは、中東紛争への懸念、人工知能(AI)への継続的な投資拡大という2つのテーマが焦点となりました。 原油価格の高騰は、エネルギー依存型の経済や個人消費にとって脅威となりました。一方で、AIへの設備投資によってデータセンター建設に必要な建設資材やネットワーク機器、その他の関連分野への需要が急増したことから、いくつかの経済圏において製造業の経済活動が活性化しました。 全体として、成長見通しは下方修正されたものの、その修正幅は限定的なものにとどまりました。 大きな懸念となっているのは、エネルギー価格の高騰がインフレに与える影響で、結果として、主要中銀はよりタカ派(金融引き締め)の姿勢を強めています。 市場は政策金利の引き上げを織り込み始めたものの、中東での紛争開始後、実際に金利を引き上げた主要中銀は欧州中央銀行(ECB)と日本銀行のみでした。 こうした世界的な情勢の中でのわずかな金融引き締めは、金融市場やクレジット需要の動向にほとんど影響を与えていないように思われます。世界経済は重大な供給ショックに直面しましたが、再びその底堅さを証明したと言えるでしょう。 より明るい先行き 米国とイスラエル、イラン間での停戦合意を背景に、2026年下半期の経済見通しは改善しました。 ホルムズ海峡を通るタンカーの航行が再開されたことを受けて原油先物価格は下落しました。ただし、石油やその他のエネルギー市場が正常化するには時間がかかる見込みで、消費者はエネルギーコストの高止まりに直面する可能性があります。それでも、エネルギー価格が紛争前の水準に戻りつつあることは、成長とインフレ見通しにとって明るい動きとなるでしょう。 エネルギー価格も含めたインフレ率はすでにピークを過ぎた可能性があり、中央銀行は利上げ期待を高めるような動きには消極的になっているとみられます。とはいえ、金融緩和が期待できる状況でもありません。金融政策に何らかの動きがあるとすれば、米連邦準備制度理事会(FRB)や英中銀(イングランド銀行)による緩やかな金融引き締めが依然として有力視されます。 投資家は、今後数カ月のインフレ動向に注目し、どのような二次的影響が生じたか、また長期的なインフレ期待が払拭されたかどうかを評価することになると思われます。当社の見解としては、インフレ期待はまだ完全に払拭されておらず、中東での紛争が再燃するリスクもあるとみています。しかし、基本的な見通しはより楽観的で、先進国および新興国経済の成長がある程度は改善する可能性が高いでしょう。 AIのバリューチェーンに属する一部の企業の収益性について疑問の声も上がっているものの、AIインフラ(半導体、PCハードウェア、データセンター)への投資に加えて、企業によるAI製品の導入に向けた投資は、いずれも今後も成長の追い風となり続けると予想しています。 債券市場の見通し:良好なリターン獲得へ 中央銀行が当面の間、現在の政策金利水準を維持できそうな状況であることから、2026年下半期の債券市場は堅調になる可能性があります。 ハイイールド債などのインカムリターンが高いセクター、インフレ連動債、あるいは金利感応度(デュレーション)が限定的であるセクターは、上半期に好調なパフォーマンスを示しました。当社では、ハイイールド債や新興国債券は、下半期も堅調なパフォーマンスを維持するとみています。 主要国の国債利回りは、名目GDP成長率から適切な水準と言える範囲内で落ち着いているようです。そして、これらの国債利回りは、世界金融危機後の平均的な水準を上回っています。 中央銀行はもはや長期金利を抑制することを目的とした金融政策を追求していないため、現在の長期金利の水準は、金融危機以前に見られたように、マクロ経済情勢をより強く反映したものとなっています。 大まかな目安として、米国の10年債利回りは4.25~5.0%程度の範囲と想定され、欧州国債はソブリン・スプレッドに応じて(イタリア、スペインなど周縁国の利回りはいずれもドイツの利回りより若干高くなる)、2.5%~4.0%程度の範囲に落ち着くと想定しています。 インカムリターンを重視する理由 もちろん、構造的なインフレ率の上昇や政府債務の水準について、長期的な懸念はあります。しかし現時点で、主要国債利回りは安定しており、それがクレジット市場に対する楽観的な見方につながっているようです。…

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月次市場見通し: 政治情勢の変化と市場の慎重姿勢

英首相交代へ 英国の投資家は、首相交代という新たな課題に直面しています。これはまた、英国経済の成長促進や英国内の地域間格差の是正に重点を置いた経済政策への転換を示唆している可能性があります。スターマー首相の後継候補であるアンディ・バーナム氏は、英政府の財政ルールを重視することを約束しています。英国債に対する市場の信用度は、経済の安定を支える重要な柱となりますが、首相の辞任以来、英国債利回りは低下しています。市場の安定にとっては、閣僚人事(とりわけ財務相の人選)とバーナム氏の政策課題の策定という2つの動きが極めて重要となるでしょう。 成長促進策の一環としてインフラ投資を拡大するにあたり、財政ルールに則った借入の範囲内に収めることができるかどうかが、極めて重要となります。現在の英国債利回りは、英イングランド銀行(中銀)が利上げを見送る姿勢を示していることを考慮すると、魅力的な水準に見えます。英国の株式市場も、首相交代による政策の転換から恩恵を受ける可能性があります。ブレグジット(英国のEU離脱)の国民投票から10年を迎え、この間に英国が被った経済的損失に関する分析が行われる一方、英FTSE 350指数の直近12カ月の株価収益率(PER)は、S&P 500指数の60%程度にとどまっており、2010年以降の平均水準も下回っています。成長見通しの改善があれば、英国の投資家にとって好材料となる可能性がありそうです。 堅調な業績、先行きが不透明な市場 原油価格は6月のピーク時から約30%下落したにもかかわらず、株式市場にはほとんど安心感が見られません。株価のバリュエーションや業績見通しへの懸念が再燃したことから、テクノロジー株式は再びボラティリティが高まっています。経済指標は総じて好調ですが、非テクノロジー関連の株価指数は小幅な上昇にとどまっています。米国の労働市場では3カ月連続で着実な雇用拡大が続いているほか、購買担当者景気指数(PMI)は、米国、欧州、日本における製造業活動の堅調さと、米国および日本におけるサービス業の拡大を示しています。 それでも株式市場が慎重な姿勢を見せている理由の1つは、中東情勢をめぐる不透明感が依然としてくすぶっていることです。また、もう1つの理由としては、(実質)金利の上昇が見込まれている点です。欧州中央銀行(ECB)はすでにインフレ懸念を理由に利上げを実施してしており、米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ新議長も、物価安定の実現に意欲を見せています。とはいえ、企業の利益見通しは明るいと言えます。4-6月期の利益成長率に関する市場予想は、MSCI欧州株指数が12%増、ラッセル・バリュー指数が17%増、ナスダック総合指数が30%増となっています。さらに、新興国市場におけるテクノロジー企業の利益は138%増加すると見込まれています(韓国では840%の増益見通し)1。こうした力強い利益の伸びは、今後も引き続き株式市場を下支えすることが予想されます。 ECB:利上げの緊急性はない 2026年の金融政策に対する市場関係者の見通しは、原油価格の急騰を受けて大きく変化しました。2025年末時点では、ECBは2026年を通じて政策金利を据え置くとの見方が中心となっていました。しかし、ECBの6月会合での0.25%の利上げを受け、最近では年末までにさらに1回以上の利上げが行われるとの見方が強まっています。こうした予想は、原油価格が1バレルあたり80ドルを下回る状況になっても、その見方は大きく変わっていないようです。この原油価格の水準は、ユーロシステム当局者が「より穏やかな」予測シナリオで示した水準を10%近く下回っています2。 原油価格の急騰がエネルギー以外の商品やサービス分野にも波及していることが確認されるまで、市場の利上げ観測と変動の激しい原油価格との間で起きている乖離は、継続することも予想されます。ECBは、最終的には「正常化」のシナリオを支持し、利上げを温存しつつ、さらなる情報を待つことになるかもしれません。その後、ECB自身が認めている通り(そして私たちの金利予測モデルでも裏付けられているように)、中立金利はわずかに上昇している可能性もありますが、その水準に向けて再び調整を行うことになるとみています。その結果、マネーマーケット金利の低下、国債イールドカーブの若干のスティープ化(右上がりになること)、そして全体として金融環境の緩和が見込まれます。 投資アイデア – 米国および新興国におけるディスラプティブ(創造的破壊)・テクノロジー戦略 根拠: AIブームは、グローバル経済全体に革新的で有益な新製品やサービスを提供するとともに、事業活動や雇用体系を変革する力を秘めています。より強力なアプリケーションが開発されるにつれて、AIインフラ、バリューチェーン、ソフトウェア・アプリケーションへの投資機会はより多く創出されることになるでしょう。このテクノロジーの未知なる可能性は、引き続き強力な設備投資と潜在的なリターン機会の創出を下支えすると思われます。 投資アイデア – 欧州株式 根拠: 欧州の経済的自立の達成に向けた戦略的な重点分野が、引き続き2026年の欧州株式の投資機会のサポート材料となるでしょう。防衛やデジタルインフラ、グリーンテクノロジーへの支出が欧州全域で優先され、長期にわたって欧州主要国や欧州連合(EU)全体の取り組みからも恩恵を受けると予想されます。この影響は多くのセクターに波及することも期待されます。欧州株式は米国や日本よりも低いバリュエーションで取引されているため、欧州株式の潜在的な投資機会は多いとみています。 投資アイデア – 米国ハイイールド債 グレジット市場の投資環境は引き続き良好です。世界経済の成長はエネルギーショックに対して耐性を示し、企業収益も堅調さを維持しています。金利の上昇により利回りが上昇し、インフレ率は2.0%を上回って推移していることから、米FRBによる年内の利下げの可能性はほぼなくなったとみられます。これにより、クレジット市場の利回りは魅力的な水準で推移する見込みです。投資適格社債の発行が増加している一方で、ハイイールド債市場は、信用力の向上や、テクニカル面およびキャッシュフロー面での好材料により、引き続き恩恵を受けています。7%を超えるハイイールド債の利回りは魅力的であり、2026年上半期の米国ハイイールド債のインカム収益は3%程度となっています。この市場セグメントでは、厳選された銘柄選択とレバレッジの適切な活用により、指数に対してトータルリターンをさらに向上させる可能性もあると思われます。…

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長期的なAI投資の潜在性は引き続き大きい

引き続き地政学的な緊張が世界におけるニュースの中心となる中、テクノロジーセクターが投資家にとって最前線の投資テーマとなっています。とりわけ、人工知能と(AI)の長期的な潜在性に注目が集まっているようです。 インターネットの登場以降のデジタル時代において、AIは最も重要な技術革新であると多くの人が感じているように、様々な場面でAIのテーマが主題となっています。人々の生活、仕事、そして世界経済への潜在的な影響は計り知れません。 PwCの調査によると、AIは「今後10年間で世界経済の生産量を最大15%押し上げる可能性がある」との見通しを示しました。これは19世紀の産業革命において、世界経済の成長率を年率1%押し上げた歴史と同様の影響をもたらしうるものです[1]。 こうした熱狂のきっかけとなったのは、2022年11月に対話型AIサービスのChatGPTが登場したことでしょう。同サービスは開始から3年弱で約8億人のアクティブユーザーを達成しましたが、これはインターネットが到達するまでに13年を要したユーザー数となっています[2]。 AIの登場によって、コンピューターが思考、学習、適応し、人間が通常行ってきた業務や認知機能を実行できるようになりました。テキスト、画像、動画の生成が可能な生成AIの導入によって投資とイノベーションの波が促進され、世界中の企業がAIインフラへの投資を続けるなど、その勢いは強まるばかりです。 市場の加速 この熱狂は、株式市場のリターンにもはっきりと反映されています。AIイノベーションの主要拠点である米国市場では、過去1年間だけでも何度も過去最高値の更新が見られています。テクノロジー企業およびAI関連企業の1-3月期利益は前年同期比で約27%増加し、2021年以降で最大の伸びとなっています[3]。さらに、韓国と日本という世界的な半導体大国においても、今年に入って主要株価指数の過去最高値の更新が続いています。 こうした良好な市場環境を踏まえれば、投資家は当然ながら、ドットコムバブルのような相場の上昇が起きた後、世紀をまたいで下落に転じたような状況が再び起こるのかとの疑問を持つことになるでしょう。しかし、当社ではまだその段階には達していないと考えています。なぜなら、バリュエーションは高まっているものの、全体的に見れば1990年代後半ほど上昇余地がない状態ではないためです。 そして、勝者と敗者が出てくると思われますが、今日のテクノロジー企業は当時とは全く異なるタイプの企業が多く見られます。ドットコムバブルの時期は、多くの企業の評価に具体的な裏付けがなく、成長期待に基づく株価上昇でした。一方で、今日のテクノロジー企業は実際に売上や利益を計上しており、直近の決算発表でもそれが確認されています。 明らかなのは、現在AI業界における「ピックとシャベル」(ゴールドラッシュの際に金採掘業者よりも「ピックとシャベル」などの道具を売る業者の方が儲けたという例え)、すなわちAIインフラ構築に関わる企業であるクラウドコンピューティングサービス、データセンター、サーバーおよびコンピューティング能力、半導体や半導体機器企業が、当面の潜在的な勝者になっているということです。 また、米国の大手テクノロジー企業の数社だけで、2026年に生成AIのインフラ拡充に約8,000億ドルの設備投資を行うと予測されています。各企業の見通しを踏まえて、アナリストらは2027年にはこの金額が1.1兆ドルに達すると予想しています。 生産性の向上 AIへの期待と、それが人々の生活や世界経済に与える影響は、とりわけ生産性向上の観点から多くの可能性を示しています。 産業の観点から見ると、AIは製造業や金融サービスなど様々なセクターで単純作業を自動化し、企業の業務効率向上とコスト削減を可能にします。 コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーは2023年の調査レポートで、生成AIやその他のテクノロジーによって、従業員の60%~70%を占める業務が自動化される可能性があるとの予測を明らかにしました。そして、AIの影響は世界経済に数兆ドルの価値をもたらす可能性があるとも試算しています[4]。 AIはまた、インターネットの到来と同様に、新しい産業を創出する可能性もあるでしょう。AIが雇用を奪う可能性についての懸念ももちろん理解できますが、同時に、このテクノロジーが最終的に新たな経済成長の時代をもたらし、新しい分野での雇用機会の拡大にも貢献すると考えています。 今後の課題と投資機会 もちろん、プライバシーやデータセキュリティといった領域の懸念は高まるでしょう。政策当局者は、AIによる被害、悪用に対処し防止するために、中立かつ透明性を持って規制を行う必要があります。 しばらく前から続いている傾向ですが、AIは日常生活を支配しつつあります。AI駆動のアルゴリズムは、職場だけでなく、映画・音楽のストリーミング、オンラインショッピングのおすすめなど、様々な分野に広がっています。 AIのデザインとインフラの両面で幅広く投資機会が存在しており、より多くの業界や企業がビジネスモデル改善のためにAIの活用を始めています。当社ではこうした傾向は今後も続くと考えており、長期的なAI投資の潜在性は引き続き大きいとみています。…

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月次市場見通し: 債券市場の回復力と株式市場における乖離

金利見通し 中東紛争の勃発以来、債券のパフォーマンスはデュレーションと逆相関となっています。デュレーションが短い債券に加えて、利回り水準が高い債券、そしてインフレ連動債が良好なリターンを示しています。また、米国債券は満期やクレジットの種類を問わず、総じて好調なパフォーマンスを示す傾向にあるようです。これは、米国の利回りが欧州よりも高く、インフレや政策金利への影響が限定的であると予想されているためでしょう。インフレ、金利、財政をめぐるリスクが継続する限り、こうした傾向は続くとみられます。4 月の政策金利は据え置かれたものの、ユーロ圏と英国では引き続き利上げのリスクが残されています。 一方で市場では、米国の政策金利は年内は据え置かれると予想されています。当面は、市場構造的にデュレーションが短く、インカム収入がトータルリターンに大きく寄与する米国ハイイールド債が選好されると見込まれます。2 月 27 日から 5 月 1 日までのICE BofA米ハイイールド指数のインカムリターンは1.2%で、欧州ハイイールド債が0.9%で、米国債(満期 1 年~ 3 年)の0.52%を上回りました。長期債のパフォーマンス改善には、イラン紛争の終結、エネルギー価格の下落、そして金利見通しの転換が必要となりそうです。 選別的なスタンス 株価指数と原油価格の相関関係は、最近になって一部で崩れつつあります。4 月末時点でブレント原油が過去数週間で 20%程度上昇した間、世界の株式指数はほぼ横ばいでした。しかし、注目すべき乖離がいくつかみられます。まず、米国と欧州における乖離です。米国の株価上昇は、好調な経済指標と堅調な決算発表によって支えられています。S&P500指数の構成銘柄のうち、執筆時点で決算発表を行っている企業の…

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AIが債券市場に与える影響力の拡大

人工知能(AI)をめぐる投資家の関心は株式市場に非常に集中しており、テクノロジー企業が中心となるナスダック総合指数は過去1年間で何度も史上最高値の更新を続けています。 しかしながら、債券市場もAIブームによって良い影響を受けつつあるようです。 投資家心理やAIがマクロ経済に及ぼす影響に加えて、AI技術が債券市場に影響を与える要因はいくつも存在します。 ここでは、成長するテクノロジー企業による債券の発行、発行体となる企業のビジネスモデルの変革、そしてAIの発展による投資プロセスの強化の可能性、という3つの論点について取り上げます。 債券の発行拡大 主要な株価指数において、テクノロジー企業に時価総額が集中していることはよく知られています。一方で、債券市場にはそういった集中は見られず、債券指数におけるテクノロジー企業のシェアは限定的なものにとどまっています。 ICEデータ・インデックス社が公表しているグローバル社債指数において、テクノロジーおよび電子機器セクターの占める比率は4.8%にとどまっています。テクノロジー分野での設備投資が市場の話題となる昨今の状況においても、その比率は数年前から大きく変わっていません。また、米投資適格社債の市場での比率は7%程度となっていますが、欧州ではこの比率はもっと低く、世界のハイイールド債市場でも5%程度にとどまっています。 しかし、債券の発行は増加傾向にあります。昨年、いわゆる「ハイパースケーラー」(大手のクラウドサービス事業者)が複数の大規模な債券発行を通じて、AIインフラの拡張を支援するため巨額の設備投資を行っています。 米国では、テクノロジーおよび電子機器セクターが発行した社債の金額は3月までの1年間で11%拡大し、約6850億ドルに達しました。企業側の見通しによれば、設備投資の増加に減速する兆しは見られず、今後も拡大する動きが続くと予想されています。 こうした資金調達の大部分は米国で行われていますが、発行体はユーロやポンドの投資適格市場にも参入しています。グーグルの親会社アルファベットは、今年2月に史上最大規模規模の債券発行を行い、この中には償還年限100年の社債(英ポンド建て、利率6.125%)も含まれています1。 それ以外の事例では、フェイスブックを運営するメタが昨年米国市場で300億ドルを調達したほか、米オラクルも多くの社債発行による資金調達を行っています2。 こうした巨大テクノロジー企業にとっては、好調な株価がクレジットの基盤となっているようです。これらの企業は力強い利益成長、堅実なバランスシートを持ちながら負債が限定的で、信用格付けが相対的に高い発行体と考えられます。テクノロジーセクターの拡大は、金融セクターや景気循環的な資本財・サービスセクターに偏りがちな債券指数の分散度を高めることから、投資家にとって歓迎すべきものです。 債券市場において、テーマ型投資はさほど一般的ではありませんが、クレジットの質や評価の高いテクノロジー企業の発行増加は、投資家の支持を得る可能性がありそうです。そのクーポンの水準は良好で、力強い利益成長に支えられています。投資家の多くはすでに株式保有を通じてテクノロジー企業を理解しているため、より予測可能なリターンをもたらすAIを推進する大手企業が発行する社債には、投資家の関心が集まることも予想されます。 債券における創造的破壊 AIがタスクの自動化や効率性の向上、プロセスの迅速化を通じてビジネスモデルを変革できるという根拠は多く存在しています。 2026年初めには、ソフトウェア企業、例えば顧客管理システムなどのアプリケーションプロバイダーが、AIによる迅速なコーディングや商品開発能力によって、ソフトウェア製品の価値が損なわれかねないとして、市場の注目が集まりました。テクノロジーのエコシステムは複雑ですが、小規模企業の方がこうした創造的破壊の影響を受けるリスクは高いかもしれません。実際に、この分野の中小企業にとって資金調達源となっている高利回りのレバレッジドローンやダイレクトレンディング市場でも懸念されていました。 すでに指摘した通り、債券市場は株式市場よりもセクターが分散されています。テクノロジーセクターは米ハイイールド債市場の約5%に過ぎず、ソフトウェアに限れば3.5%程度です。年初にソフトウェアサービスに対するAIの創造的破壊という懸念が浮上する中で、同セクターのスプレッド(信用格差による利回り差)は拡大しました。 しかしながら、AIによってビジネスモデルが脅威にさらされやすい発行体と、テクノロジーセクターに属するだけで影響を受けにくい発行体があるため、投資家はどの発行体が脆弱なのかを区別することが必要となります。ゲームやメディアといったセクターでも、AIによる創造的破壊の影響を受ける発行体はあるでしょう。だからこそ、アクティブ運用を行う債券投資家は、キャッシュフローが脅かされ、格付けが低下しデフォルトリスクが高まる可能性のある発行体を見極めることに重点を置かなければなりません。 繰り返しになりますが、同セクターへの懸念が行き過ぎる状況には注意が必要です。まだ比較的小さなセクターであり、すべてのテクノロジー企業がリスクを抱えているではありません。テクノロジーへのエクスポージャーは、レバレッジドローンやダイレクトレンディング市場により集中しており、公開市場におけるハイイールド債ではこうした集中はみられていません。 投資プロセスの強化…

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チップとオイル

韓国株は、半導体やその他のコンピューター・ハードウェア株を中心に急騰しています。米国では、テクノロジー企業の決算発表が好調で、ナスダック100指数は3月末以降、S&P500指数を5%上回って上昇しています(執筆時点)。 データセンターの容量増強におけるボトルネックを解消する新しい技術が、有望な投資テーマとして浮上しています。テクノロジーセクターの中では、インフラ整備やツール供給といった「土台」となる事業が依然として大きな存在感を示しているようです。 しかしながら、中東情勢の動向によっては、市場の上昇トレンドが反転する可能性も依然として存在していると思われます。エネルギー不足が経済活動や消費に及ぼす影響は、まだ最悪の事態を迎えていないのかもしれません。ホルムズ海峡における問題の解決は、投資家の信頼回復に不可欠です。そのため、米国とイランの協議の行方にすべての注目が集まっていますが、協議がいつ行われるかは、現時点では不透明な情勢です。 何にでも必要となる半導体チップ 2026年もほぼ3分の1が過ぎましたが、中東紛争にもかかわらず、株式市場のリターンはテクノロジー関連銘柄が引き続き牽引しています。韓国、台湾、日本、イスラエルといったテクノロジー主導型市場の目覚ましいパフォーマンスからもこうしたトレンドは明らかです。ナスダック100指数はアジア市場に比べて出遅れており、S&P500指数も同様に出遅れているものの、いずれも良好なリターンを記録しています。 「目覚ましい」と「良好な」との微妙な違いは、韓国や台湾の株式市場が半導体製造と関連銘柄が中心であるのに対して、米国市場にはソフトウェア企業がはるかに多く存在しているという点です。人工知能(AI)が「サービスとしてのソフトウェア」(SaaS: Software as a Service)のビジネスモデルを覆しかねず、それによってソフトウェア企業が中期的に大きな影響を受ける可能性があるという懸念があります。 ピック&シャベル戦略(金鉱を掘る人よりも道具を売っていた商人の方が儲けたという例え)を活用し、AIを支えるインフラやサービスを提供する企業に投資するトレードは引き続きうまく機能しています。足元で、台湾の半導体メーカーTSMCが売上高見通しを引き上げたほか、すでに1-3月期決算を発表したS&P500構成銘柄のテクノロジー企業はまだ多くないですが、とりわけ半導体分野で市場予想を大幅に上回る好決算が出てきています。 テクノロジーは引き続き世界の株式リターンをけん引する主要な原動力となっており、今年はこれまでのところ、半導体とアジア市場への投資が最も有効だったと言えます。 テクノロジー企業の受注残は豊富で、データセンターやコンピューター設備の拡張は減速の兆しを見せていません。しかし、サーバーの稼働や、拡大し続けるAI利用に伴うコンピューティング需要を満たすには、膨大なエネルギー、水、そして重要な金属資源が必要となります。こうした潜在的なボトルネックを解消する技術、例えば希少な水資源への負荷を軽減する高効率冷却技術などに、新たな投資機会が生まれているとみられます。 特に中東情勢を勘案すると、エネルギーの不足は、テクノロジー業界にとって潜在的な課題となるでしょう。原油と液化天然ガス(LNG)の両市場で、深刻な供給の問題が発生しています。テクノロジー企業が自社の発電設備に投資しているにもかかわらず、データセンターのコストは増加することが見込まれます。 活況を呈しているマーケット ただし、エネルギー危機がAI投資を失速させる可能性は低いと思われます。確かに課題ではありますが、再生可能エネルギーや原子力、水力、バイオマス発電などを通じた容量の増強によって、最終的にはエネルギー供給は回復し、さらに強化されるとみています。 コンピューティング能力の拡大、通信ネットワーク、発電、送電といった相互に関連するテーマは、今後しばらくの間は、投資戦略の中心テーマであり続けると予想されます。 今年の年初来で、S&P500の資本財・サービス指数で上位5位のリターンを記録した銘柄は、いずれも電力サービス・機器の提供に携わる企業です。 事態は長期化の見込み ニュースの見出しは、引き続き金融市場の変動要因となっています。ここ数週間で指摘してきたように、現在のマーケットでは平和的な解決が実現し、エネルギー市場が徐々に正常化することで、長期的な価格変動や石油・ガス製品に依存する経済活動への混乱が最小限に抑えられるという期待に基づいた取引が行われていると考えらえます。これが足元での株価上昇につながっています。…

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