- 人工知能(AI)はインターネットの登場以降、最も重要な技術革新として台頭しており、世界経済、生産性、日常生活を再構築する可能性を秘めています。
- 急速なイノベーションとインフラ投資に牽引され、AIハードウェアやクラウドサービスを含むAI関連企業は市場で大きな注目を集めています。
- このテクノロジーは、インフラやデータセンターなど多くの分野で魅力的な長期の投資機会を提供します。
引き続き地政学的な緊張が世界におけるニュースの中心となる中、テクノロジーセクターが投資家にとって最前線の投資テーマとなっています。とりわけ、人工知能と(AI)の長期的な潜在性に注目が集まっているようです。
インターネットの登場以降のデジタル時代において、AIは最も重要な技術革新であると多くの人が感じているように、様々な場面でAIのテーマが主題となっています。人々の生活、仕事、そして世界経済への潜在的な影響は計り知れません。
PwCの調査によると、AIは「今後10年間で世界経済の生産量を最大15%押し上げる可能性がある」との見通しを示しました。これは19世紀の産業革命において、世界経済の成長率を年率1%押し上げた歴史と同様の影響をもたらしうるものです[1]。
こうした熱狂のきっかけとなったのは、2022年11月に対話型AIサービスのChatGPTが登場したことでしょう。同サービスは開始から3年弱で約8億人のアクティブユーザーを達成しましたが、これはインターネットが到達するまでに13年を要したユーザー数となっています[2]。
AIの登場によって、コンピューターが思考、学習、適応し、人間が通常行ってきた業務や認知機能を実行できるようになりました。テキスト、画像、動画の生成が可能な生成AIの導入によって投資とイノベーションの波が促進され、世界中の企業がAIインフラへの投資を続けるなど、その勢いは強まるばかりです。
市場の加速
この熱狂は、株式市場のリターンにもはっきりと反映されています。AIイノベーションの主要拠点である米国市場では、過去1年間だけでも何度も過去最高値の更新が見られています。テクノロジー企業およびAI関連企業の1-3月期利益は前年同期比で約27%増加し、2021年以降で最大の伸びとなっています[3]。さらに、韓国と日本という世界的な半導体大国においても、今年に入って主要株価指数の過去最高値の更新が続いています。
こうした良好な市場環境を踏まえれば、投資家は当然ながら、ドットコムバブルのような相場の上昇が起きた後、世紀をまたいで下落に転じたような状況が再び起こるのかとの疑問を持つことになるでしょう。しかし、当社ではまだその段階には達していないと考えています。なぜなら、バリュエーションは高まっているものの、全体的に見れば1990年代後半ほど上昇余地がない状態ではないためです。
そして、勝者と敗者が出てくると思われますが、今日のテクノロジー企業は当時とは全く異なるタイプの企業が多く見られます。ドットコムバブルの時期は、多くの企業の評価に具体的な裏付けがなく、成長期待に基づく株価上昇でした。一方で、今日のテクノロジー企業は実際に売上や利益を計上しており、直近の決算発表でもそれが確認されています。
明らかなのは、現在AI業界における「ピックとシャベル」(ゴールドラッシュの際に金採掘業者よりも「ピックとシャベル」などの道具を売る業者の方が儲けたという例え)、すなわちAIインフラ構築に関わる企業であるクラウドコンピューティングサービス、データセンター、サーバーおよびコンピューティング能力、半導体や半導体機器企業が、当面の潜在的な勝者になっているということです。
また、米国の大手テクノロジー企業の数社だけで、2026年に生成AIのインフラ拡充に約8,000億ドルの設備投資を行うと予測されています。各企業の見通しを踏まえて、アナリストらは2027年にはこの金額が1.1兆ドルに達すると予想しています。
生産性の向上
AIへの期待と、それが人々の生活や世界経済に与える影響は、とりわけ生産性向上の観点から多くの可能性を示しています。
産業の観点から見ると、AIは製造業や金融サービスなど様々なセクターで単純作業を自動化し、企業の業務効率向上とコスト削減を可能にします。
コンサルティング会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーは2023年の調査レポートで、生成AIやその他のテクノロジーによって、従業員の60%~70%を占める業務が自動化される可能性があるとの予測を明らかにしました。そして、AIの影響は世界経済に数兆ドルの価値をもたらす可能性があるとも試算しています[4]。
AIはまた、インターネットの到来と同様に、新しい産業を創出する可能性もあるでしょう。AIが雇用を奪う可能性についての懸念ももちろん理解できますが、同時に、このテクノロジーが最終的に新たな経済成長の時代をもたらし、新しい分野での雇用機会の拡大にも貢献すると考えています。
今後の課題と投資機会
もちろん、プライバシーやデータセキュリティといった領域の懸念は高まるでしょう。政策当局者は、AIによる被害、悪用に対処し防止するために、中立かつ透明性を持って規制を行う必要があります。
しばらく前から続いている傾向ですが、AIは日常生活を支配しつつあります。AI駆動のアルゴリズムは、職場だけでなく、映画・音楽のストリーミング、オンラインショッピングのおすすめなど、様々な分野に広がっています。
AIのデザインとインフラの両面で幅広く投資機会が存在しており、より多くの業界や企業がビジネスモデル改善のためにAIの活用を始めています。当社ではこうした傾向は今後も続くと考えており、長期的なAI投資の潜在性は引き続き大きいとみています。
[1] PwC Research:“AI adoption could boost global GDP by an additional 15 percentage points by 2035, as global economy is reshaped”
[2] OpenAI、世界銀行(2025年10月 )
[3] CIO Weekly – AI fuels the strongest earnings season in years
[4] マッキンゼー:“Economic potential of generative AI”