長期アセットアロケーション見通し「グレート・ディスラプション?」
BNPパリバ・アセットマネジメント(BNPP AM)は、長期のアセットアロケーションに関する見通しをまとめたレポートを発行しました。トランプ氏の米大統領再選に伴う世界貿易や地政学的な変化は、長期投資家にどういった影響をもたらすのでしょうか。こうした破壊的な変化(ディスラプション)が、経済成長やインフレ、各資産クラスのパフォーマンスに与える影響についてまとめています。主なポイントは以下の通りです。
28/08/25
BNPパリバ・アセットマネジメント(BNPP AM)は、長期のアセットアロケーションに関する見通しをまとめたレポートを発行しました。トランプ氏の米大統領再選に伴う世界貿易や地政学的な変化は、長期投資家にどういった影響をもたらすのでしょうか。こうした破壊的な変化(ディスラプション)が、経済成長やインフレ、各資産クラスのパフォーマンスに与える影響についてまとめています。主なポイントは以下の通りです。
28/08/25
過去数年間、債券市場のリターンは良好だったため、投資家が2022年の厳しい環境から徐々に回復することの助けになりました。しかし、その回復は一直線に進んだものではありませんでした。実際、市場は主に金利ボラティリティ(変動性)が上昇することによる高い構造的ボラティリティの局面に突入しています。 このボラティリティは、各国の主要な中央銀行が金融政策についてこれまでの歴史で最大の転換を実施して以来直面してきた不確実性の高まりを反映しています。市場もこのボラティリティを予想していませんでした。2025年の初めの見通しでは、市場にはいくつかの確実性が現れてくるように思えました。つまり、米国例外主義は、トランプ政権の規制緩和と減税の計画によって強化されようとしているとみられており、また、欧州については、経済成長は低迷を続け世界的な貿易戦争によって抑制される可能性があり、インフレは懸念材料にはならないと予想されていました。 これらの確実性はすべて消え去りました。その代わりに、市場はこれまでにないほど多くの追い風に直面しているようです。あまりにも多くの追い風があるため、構造的ボラティリティが高いにもかかわらず、市場は凍りついているようになっており、限られた範囲で推移し、中期的に金利の正しい方向を評価できない状態になっております。 物事が横ばいの動きになるとき、投資家として、分かっていることと分かっていないを見直すことには通常では意味があると考えます。 分かっていること 上記のポイントはすべて、この資産クラスに対してかなり支援材料になるとみていますが、依然として大きな不確実性があります。 分かっていないこと 地政学 中東の緊張が高まっています。イランとイスラエルの間で最近停戦が発表されたにもかかわらず、過去この地域の停戦について、本当に守られたものは半分に過ぎません。一方、ロシアとウクライナの戦争は続いており、米国と欧州の同盟国とを分断する可能性があります。この分断は、防衛支出を加速させる必要が生じ、財政見通しや供給への重荷が増す可能性があり、その結果、金利が上昇することになると考えます。 これに加えて、原油価格が上昇すると、新たなインフレ圧力が加わり金利を押し上げる可能性があります。 貿易関税 関税貿易戦争は続いており、各国の交渉の行方を見ると、金利や成長の観点から何を意味するのかを確実に予測することが難しくなっています。一方で、交渉が成立すればリスク資産を支え、また、成長拡大とインフレ加速の見通しから金利が上昇する可能性があるとみています。しかし逆に、期待される成長が下方修正されると、金利が低下し、クレジットスプレッドが拡大することもあります。また、たとえ交渉が妥結しても、それが尊重されるかどうかはまだ分かりません。 世界の非ドル化 米国は、信頼できる同盟国としての地位を失ったようです。このことは、米国が今後経済的および地政学的に建設的なパートナーシップを築くことができるか否かについて、悪影響を及ぼす可能性があります。また、予防的な手段として、米国から投資を引き揚げる範囲が広がり、米国金利に対してユーロ金利を強める要因となるかもしれません。 財政見通し 欧米は共に、防衛支出の増加や減税により、財政赤字がさらに増加することが見込まれます。この赤字拡大が市場に十分に織り込まれているとしても、依然として金利を押し上げる要因になる可能性があるとみています。 中央銀行の金融政策 欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)は、現在の経済データを考慮すると、金利に関して現在の水準に満足しているようです。しかし、両中央銀行はこの非常に不確実な環境において行動する準備も整えています。雇用の悪化はFRBの行動を引き起こす可能性があり、また同様に、インフレの急上昇はフォワードガイダンス(中央銀行が金融政策の先行きを前もって示すこと)に影響を及ぼす可能性があるとみています。 これら地政学的リスク、貿易戦争、財政赤字拡大の結果はすべて、各中央銀行に行動を促す可能性があるとみています。 一方、トランプ大統領が任期満了前にFRB議長交代を発表すれば、信頼に対する別の課題が生まれる可能性があります。彼はパウエルFRB議長やFRBを批判している一方で、最高裁判所が早期の交代を防いでいるものの、トランプ大統領の将来的な関与を軽視すべきではないと考えます。たとえこれが現在のFRBの金融政策に影響を与えないとしても、市場にハト派的な傾斜を加え、インフレ期待を高める可能性があり、その結果、イールドカーブがさらにスティープ化することが考えられます。…
18/07/25
米国のモメンタム相場が好調に続いています。経済データは、経済がリセッション(景気後退)には近づいていないことを示しています。雇用統計は予想を上回っており、関税収入は連邦政府の財政に対する否定的な見通しを緩和しています。米国債市場の利回りは上昇を抑えられており、株式市場のリスクプレミアム(リスクに対して求める上乗せ利益)はますます小さくなっています。6月には、米国株式市場のパフォーマンスが欧州の株式市場を上回り、2025年の最も特徴的なトレンドの一つを逆転しました。理解するのは難しいことですが、「アメリカを売る」というセンチメント(市場心理)は持続するほどには強くありませんでした。市場にとって最も抵抗が少ない方法は、米国株式市場が上昇し続けることで、「アメリカが再び偉大にされている」ということと考えます。 関税の(ある種の)恩恵 トランプ大統領が4月2日に最初に発表した相互関税の90日間の延期の後、何を決定するかは(執筆時後)すぐに明らかになるでしょう。一方、米国財務省のデータによれば、今年は最大で1000億ドルの関税収入が得られています。その大部分は4月以降に得られます。Budget Lab at Yale(イエール大学の研究センターの一つ)は、米国の実効関税率が約15%(2025年6月6日現在)であり、1930年代以来の最高水準であると推定しています。関税制度の下で徴収された収入は、米国に商品を輸入する企業が入国時に支払います。しかし、最終的なコスト負担は、輸入品の購入者と最終消費者の間で分担されます。一年間に換算すると、これまでのところ関税収入は米国の個人支出の約1%に相当します。これは比較的小さい規模ですが、依然としてわかりやすい、家計および企業部門から政府への富の移転です。これは財政赤字に大きな影響を与えないものの、保護主義的な貿易姿勢が実質的な所得に与える影響を示すものです。 物価は上昇しているか? 物価指数の詳細は、関税が輸入価格に影響を与えることを示唆しています。最近の生産者物価指数と個人消費デフレーター報告の耐久財部分は、前年同月比でのインフレが高まっていることを示しています。6月の米供給管理協会(ISM)指数では、支払価格指数が69.5から69. 7にわずかに上昇しました。これは、企業の調達担当者の大多数が必要な投入物の価格が上昇していることを認識しているということを示しています。輸入指数は5月の39.9から6月には47.4に反発しましたが、その水準では輸入は依然としてマイナス成長です。ISM調査の回答者からのコメントは、価格や調達決定に対する関税の悪影響を表現していました。 しかし、株式市場は高値を更新している しかし、金融市場は気にしていないようです。米国株式市場は高値の更新を続け、一方、債券市場は、財政政策への懸念や6月非農業部門雇用データに対するネガティブな反応にもかかわらず、株式市場にとって問題を引き起こすような水準にはなっていません。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を据え置いていますが、市場は依然として9月に利下げを行うと考えています。現時点(執筆時)では、米国債や他の国債は限られた範囲内での取引が続いています。 今後12ヶ月間の1株当たり利益(ESP)成長に関する市場コンセンサス予測に基づくと、S&P 500指数の益利回り(株価収益率(PER)の逆数)と米10年国債の利回りの差は約0.25%です。この利回り差は、1990年代末のドットコムバブルの時代(当時の差はマイナス)から、2011年に6%以上のピークを経て、今日再びゼロ近くに戻るという大きな往復の道を経ています。単純な結論としては、株式市場は債券市場に対して割高であるということです。大まかな結論としては、株式市場から得られると予想される将来のリターンは債券市場よりも低いということです。この結論への反論としては、企業の利益成長が依然として堅調で、これがリターンを支えるはずだという見方があります。大きなリスクは、人々の所得増加が鈍化する場合にリセッションが発生することです。つまり、家計や企業が支出するためには所得が必要です。そして、売上のためには支出が必要であり、利益のためには売上が必要です。 弱気シナリオ S&P 500指数は2000年初頭に当時の史上最高値に達した後、半年余りの期間にほぼ50%下落し、その後、2000年の最高値水準を回復するまでに約6年かかりました。この期間の米国債市場は株式市場のトータルリターンを上回るリターンとなっていました。今日、米株式市場が国債市場を上回るパフォーマンスを続けるには、企業業績を損なうような景気サイクルの大きな修正がないことと同時に金利が低下することが必要と考えます。全米経済研究所によると、新型コロナ感染症によるミニ・リセッション(景気の中だるみ)を無視すれば、米国経済は192ヶ月間拡張し続けており、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代の成長期間を超える長期的成長となっています。そろそろリセッションが起こるはずだと思うかもしれませんが、リセッションが起こっていないという事実は、米国経済がいかに回復力があるかを示しています。では、なぜ株式市場は今後引き続き好成績を上げることができない可能性があるのでしょうか? 欧州のモメンタムは減速 米国以外の株式市場は相対的に割高ではないものの、経済の拡大は米国ほど力強くありません。欧州やアジア市場のPERは米国よりも低い水準にあります。米国例外主義は富を力強く拡大しましたが、これは下振れリスクを増加させており、特に政策の不確実性やインフレリスクに関して高くなっていると見ています。6月の米国株式市場パフォーマンスは、米国に対する新しい強気のセンチメントを反映しています。米国関連やテクノロジー関連のアジア株式市場は、6月に米国よりも良好なパフォーマンスを示しました。欧州の株式市場はこれらに遅れを取っていますが、年初来では依然として好調な水準にあります。欧州中央銀行(ECB)が金利を十分に引き下げたと示唆したことは、投資家のセンチメントに影響を与え、欧州の債券市場のパフォーマンスに重しとなりました。 短期デュレーションの物価連動債戦略が好ましいと考える 高い確信を持つのは難しい状況のままです。米国株式市場は、押し目買いのセンチメントや人工知能(AI)に対する継続的な熱意によって支えられたモメンタム相場になっています。株式市場以外では、短期デュレーションのインフレ連動債市場が近年、リスク調整後のリターンの点で良好な資産クラスとなっています。この短期インフレ連動債市場の特徴は、参照する消費者物価指数に連動したインフレの蓄積から恩恵を受けつつ、金利のボラティリティに対する感度が限定されていることです。ICEグローバル1〜5年グローバル・インフレ連動国債指数の今年初来のトータルリターンは、6月末時点で米ドル建で7.5%でした。ユーロ建(ヘッジ後)では、リターンは2.9%であり、ユーロ圏調和消費者物価指数(HICP)の上昇(6月速報値で2.0%)を上回っています。この短期インフレ連動債への投資戦略は、関税が不確実な期間においてパフォーマンスを発揮するであろうと見ています。もしインフレ率が上昇すれば、インフレ連動債市場は恩恵を受けるでしょう。成長が鈍化し、FRBが予想よりも早く、または大幅に金利を引き下げる場合、名目金利の低下とインフレ・ブレーク・イーブン(市場が予想する期待インフレ率)スプレッドの縮小からもプラスの影響があるでしょう。…
15/07/25
BNPパリバ・アセットマネジメント(BNPP AM)は、マーケットに関する最新の見通しを提供する「マンスリー・マーケット・ビューポイント」を月次で発行しています。2025年7月号の主なポイントは以下の通りです。
08/07/25
機関投資家にとって、負債を管理し、長期的なキャッシュフローを確保し、市場のボラティリティ(変動性)を切り抜けることは永遠の課題でしょう。顧客のニーズは時間とともに変化するだけでなく、2022年に英国で経験したリズ・トラス首相(当時)のミニ予算とその後の債券市場の混乱のような極度の市場ストレスも、機関投資家のアプローチに影響を与える可能性があります。年金基金や保険会社の大半は、直面する特定のリスクを管理するために、結果志向型のソリューションを導入しています。 そのうちの2つのソリューションが LDI(負債連動型運用)と CDI(キャッシュフロー主導型投資)であり、これらは機関投資家によって、異なる財務目標とリスク属性に対応しながら特定の成果を達成するために利用されています。この市場が進化し、顧客のニーズを満たすために拡大するにつれて、LDI と CDI の性質に関していくつかの誤解が出現しました: 迷信1:どちらか一方の戦略しか使えない 「LDI」と「CDI」の頭字語は響きが似ており、リスク軽減に重点を置いていますが、それらの目的は異なります:その名が示すように、LDI の目的は、負債の金利感応度とインフレ感応度をヘッジし、資金積立水準の変動を緩和することです。 これは通常、高品質で流動性のある資産を、典型的には資産の額面金額に合わせて活用することを通じて実現させています。デリバティブは流動性とレバレッジを提供するために使用されることがあります。 逆に、CDI ポートフォリオの主な焦点は、ポートフォリオが保有債券から受け取るクーポンインカムなどの自然収入(ナチュラル・インカム)を通じて、必要な現金支給を行うことです。必要なときに現金を供給する必要があるため、投資適格社債のような、相対的に確実性の高いインカムをもたらすクレジット資産が選ばれます。クレジットの売買にはコストがかかるため、レバレッジは通常用いられません。 これらの違いを考慮すると、投資家は負債をヘッジするためのLDI ポートフォリオと、キャッシュフローを合致させるための CDI ポートフォリオの両方を利用することができ、この2つは相互に排他的なものではないことが明らかになります。実際に CDI ポートフォリオは金利エクスポージャー(金利へのかかわり度合い)をもたらすことから、既存の LDI ポートフォリオを持つ顧客にとって、LDI が抱える金利エクスポージャーのレバレッジ縮小と分散化に役立つ追加投資となる可能性があります。 下図は、機関投資家のニーズを満たそうとする目的で、幅広く資産クラスを組み合わせるとともに、両戦略をどのように組み合わせることができるかを示しています。 出所:アクサ IM、2025年5月30日現在。上記グラフは例証のみを目的としています 迷信2:どちらも同じ投資スキルセット(業務に必要な技術や知識等の組み合わせ)を必要とする 迷信1が述べているように多くの共通点がある一方で、これらの戦略を実行するための手段には大きな違いもあり、マネージャーに求められるスキルも異なります。明確な例として、ソブリン債(国債や政府機関債)との正確な合致に焦点を当てた LDI は、負債のキャッシュフローを正確にヘッジし、レバレッジによる担保と流動性を管理する能力につながります。これとは対照的に、CDI 戦略はクレジットの比重がはるかに重くなるため、クレジット調査とリスク管理、さらに発行市場と流通市場の両方で大規模なクレジット取引を行う能力が重要なスキルセットとなります。クレジット/発行体リスクの観点から監視すべき発行体の数に関する数値を示すと、LDI戦略の ポートフォリオはソブリンまたは準ソブリンから1件または数件の異なる発行体しか保有しないことが多いのに対し、CDI戦略に関連する世界のクレジットユニバースには2,500を超える発行体による20,000を超える債券があり、それぞれが固有のリスクを抱えています。 上記が LDI 運用者と…
07/07/25
世界金融危機から15年間で、規制改革と低金利を背景に米国ハイイールド債(HY)市場に構造的な変化がもたらされました。 HY企業の資金調達コストが低下したため、新規発行額は2008年以降急増し、それに伴い、より多様な企業やより洗練された企業の参入が増えてきています。 現在(執筆時)の米国HY市場における最大級の発行体には、チャーター・コミュニケーションズ、ヒルトン・ホテルズ、ロイヤル・カリビアンなど、著名なブランドや各事業分野におけるグローバルリーダーが挙げられます。 今日の米国HY市場は、15年前に比べて全体的な信用(クレジット)の質の向上、流動性の改善、デュレーションの低下、担保付債券の割合の増加を特徴としています。こうした要因が相まって、リスク資産にとって不確実性が高まるマクロ環境をうまく乗り切るために、米国HY戦略は投資戦略において強固な位置づけにあるとアクサ・インベストメント・マネージャーズ・グループ(以下、アクサIMといいます)は考えています。 その結果、米国HY市場の投資家層は拡大し、多様化しています。米国HYは過去の「ジャンク(がらくた)債」という評判を徐々に払拭し、周縁的な扱いから標準的な資産配分モデルの中での一般的な部分へと移行しています。 金融危機後の好況 金融危機の影響で金利が過去最低水準に低下したことを背景に、企業はクレジット市場全体で資金調達コストが低下したことを利用できたことから、新規発行額の増加が促進されました。規制改革が実施されたことによって、より洗練された借り手(発行体)をHY市場に呼び込むことにも成功しました。これは低金利のみならず、HYが主に繰上償還可能な資産クラスとして(借り手は当初定めた償還期限より前に積極的に債務を借り換えることが可能)、企業の資金調達ニーズに応じて柔軟性を与えることが借り手の関心を引き付けたからです。 この新たな供給は、他の債券市場と比較して相対的に良好な利回りを示し、投資家の需要増加に相応しており、投資信託や年金基金、保険会社といった伝統的な米国HY市場への投資家は多く、危機後の10年間で組み入れ比率を拡大しています。 出所:JPモルガンリサーチ:1)Credit Strategy Weekly、2024年12月31日現在、2)HY Bond and Leveraged Loan Market Monitor、2025年4月30日現在 格付構成の改善 この成長と時を同じくして、信用の質の観点からみた米国HY市場の構成も変化しており、BB(HYの格付け範囲で最上位)の比率は世界金融危機前の38%から現在の53%に上昇しています。その一方で、CCC以下の格付けの発行体(低位格付け)の比率は2007年末の16%に対して現在は11%となっています。 出所:BofA…
16/06/25