人類の起源より、水はその生命線と表現されてきました。ローマ帝国に張り巡らされた水道橋や、ナバテアの首都ペトラを鉄砲水から守ったダム網まで、多くの古代文明の中心には精巧な水システムが存在していました。その歴史は古く紀元前18世紀にまでさかのぼり、バビロニアのハンムラビ法典には灌漑に関する規則が定められていました。
家庭用電化製品から水を大量に使用する先端製造業に至るまで、現代の経済は水で成り立っていると言っても過言ではありません。また、世界的な生活水準の向上により、長期的に水需要が拡大しています。
しかし、世界の多くの地域では、過剰消費、汚染、気候変動の影響により、水資源は深刻なストレスにさらされています。そして、約20億人が安全な飲料水にアクセスできず、健康に深刻な影響を及ぼしています1。水の供給に関する問題は、新興国だけに影響を及ぼすものではありません。インフラの老朽化により信頼性の高い水供給が損なわれており、先進国全体の汚染の原因にもなっています。
世界的な水問題に対処するためには、世界の水関連産業への投資を大幅に拡大する必要があります。国連(UN)は2020年に、2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、水関連のインフラ整備に毎年2,600億米ドルの追加支出が必要であると試算しました2。多くの政府が水システムを更新することが不可欠であると認めており、また多くの規制当局が新たな投資資金を調達するために公共料金を値上げする必要があると考えています。2021年に米国の超党派議員によって、インフラ投資・雇用法に水関連インフラ改良のための550億米ドルが盛り込まれたことは、その最たる例と言えます。
公益企業や水利用企業による財政支援や投資の拡大は、水関連産業向けの製品やサービスを提供するサプライヤーにも波及することは間違いなく、革新的な企業にとって水のバリューチェーン全体で幅広いビジネス機会が生まれることになります。
インパックスは、20年以上にわたって水関連産業への投資を続け、2008年からはこのテーマに特化した投資戦略を展開しています。この間、水のバリューチェーンに属する企業の数は大幅に増加しています。インパックスにおける水セクターのスペシャリスト・チームは、世界的な水関連企業や、各企業を差別化するテクノロジーについて理解を深めています。そして、世界各国の政策や規制の動向をフォローし、こうした知識を銘柄選定のプロセスにも活用しています。
当レポートでは、世界全体における水関連産業の取組むべき優先事項を決定し、水関連産業の成長をけん引する原動力および規制環境について説明します。次に、インパックスが水関連企業における投資機会をどのように抽出しているかの概説を述べ、今後数年から数十年にわたり水市場をけん引し、発展させる可能性があるとインパックスが考える、革新的な技術とソリューションのいくつかをご紹介します.