世界の主要な株式市場は、ドナルド・トランプ米大統領のソーシャルメディアへの投稿やインタビューに反応して、引き続き大きく変動しています。その内容が交渉の進展に関するニュース(イラン側は否定しているものの)であれば市場は上昇し、紛争の激化が差し迫っているように見える場合は下落しています。リスク資産が下落するか反発するかは、戦争の行方次第となるため、今後の見通しは不確実のまま変わりません。
しかし、市場動向には変化が生じています。原油価格に敏感な産業の株価は引き続き原油価格と連動して動いていますが、テクノロジーセクターでは主な要因に変化が見られます。
テクノロジーセクターは、他のセクターに比べてデュレーションが長いため、金利変動の影響を特に受けやすくなっています。この金利との関連性は、新型コロナウイルスによるロックダウン後に経済活動が再開された2022年に顕著に表れました。インフレが再燃し、それに対応して主要国の中央銀行は政策金利を引き上げました。米10年国債利回りはこの間に1.6%から4.2%に急上昇した一方、ナスダック100指数は年間で30%以上下落しました。
しかし、今年の2月の株式市場ではこの相関関係は弱まりました。これは、他の要因が相場を左右し始めたためです。つまり、ハードウェアのテクノロジー企業は、人工知能(AI)関連の設備投資の大幅な増加にけん引されて株価が上昇した一方、ソフトウェア企業の株価は、人工知能ツールがビジネスモデルの脅威となるとの市場の見方によって下落しました。
イラン戦争の勃発により、これらのセクター(金やビットコインも含む)において、積みあがったロングポジションとショートポジションの解消が進みました。この動きは、2月27日以降の米国債利回りの大幅な上昇による影響を上回り、ナスダック指数の変動は差し引きでは限定的なものにとどまりました。
現在(執筆時)では、こうしたロングとショートのポジションが縮小したことで、ナスダック市場の金利への感応度が回復しました。国債利回りが上昇している一方で、市場は下落しています(図表1参照)。また、今年初めに崩れていたハードウェア株とソフトウェア株の正の相関関係も復活してきています。

この新たな株式市場動向は、テクノロジーセクターの見通しが他のセクターよりも明るいことを示唆しているとみています。リスクとしては、戦争が激化し原油価格がさらに上昇すれば、国債利回りが上昇し続ける可能性があることです。しかし、原油価格が大幅に上昇すれば、市場はリセッション(景気後退)を織り込み始め、金利低下につながる可能性が高いとみています。
このシナリオでは需要が比較的堅調であり、テクノロジー企業がAIインフラへの投資を継続する可能性が高いため、テクノロジーセクターは株式市場における「ディフェンシブ」な役割に戻る可能性があるでしょう。
紛争終結に向けた交渉が成功すれば、金利の低下によって株式市場の上昇を促す可能性が高いとみています。BNPパリバ・アセットマネジメントの見方としては、欧州中央銀行(ECB)が原油価格上昇のインフレへの影響に反応を強めている姿勢とは対照的に、米連邦準備制度理事会(FRB)は比較的寛容な姿勢を示していることが、米国株式市場にとって一層の支援材料になるとみています。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。また、記載内容は、2026年4月1日現在の資本市場を説明したものであり、特定の金融商品への勧誘や推奨を意図したものではありません。
(オリジナル記事は4月2日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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