<概要>
・インフレ率の急上昇は、10年間にわたった債券の低利回り時代に終止符を打ちました。
・今後10年間は、債券利回りが最近のゼロに近い水準に戻ることも、過去30年間を象徴するような着実な債券価格の上昇が続くような状況も起こらないと思われます。
・むしろ、インフレ率と実質利回りは、中央銀行の政策、需給ダイナミクスの変化、インフレ率が再び急上昇するリスクなどを背景に、長期平均に近い水準で推移することが見込まれます。
・名目および実質利回りの上昇は、投資家の債券ニーズにとってよりシンプルで確実なソリューションとなり、この資産クラスにおける新たな投資機会を提供することになるでしょう。
2020年の夏時点では、米10年国債の利回りは0.5%程度でした。それが2023年秋には、同利回りは5.0%弱まで急上昇しました 。わずか3年の間に、10年間にわたって投資家の懸念となってきた低金利、あまりにも低い債券利回り、マイナス金利、インフレ環境を生み出せない中央銀行、といったものに対する懸念は一気になくなりました。少しでも利回りを追求しようとする投資家の意欲も、さらにはポートフォリオにクレジットリスクや非流動性リスクを追加しようとする動きも大きく後退しました。10年間続いた債券の低利回りの時代が、突然終わりを告げたのです。
現在の債券利回りの魅力や、金融緩和政策が進むにつれて絶対的なリターンが大きくなる可能性については、すでに多くのところで解説されています。しかし、低利回り時代からの突然の脱却が長期的にどのような意味を持つのかについては、これまでほとんど語られて来ませんでした。
現在の米国債は、プラスの実質金利(インフレ調整後)を提供し、よりバランスの取れたリスク・プロファイルとなっています。また、分散ポートフォリオにおいてより多くの役割を果たし、より多くの投資機会を提供することが可能です。債券は、今後数四半期における戦術的な投資配分として有効なだけではなく、投資家全般にとって戦略的な投資機会を提供します。そして、インカムやデュレーション、分散を必要とする多くの機関投資家にとって、10年ぶりに新たな目的を達成できる資産クラスとして復活したのです.