米国ハイイールド債2025年見通し
米国ハイイールド債市場は、2024年に投資家にとって相対的に良好なトータルリターン8.2%を達成しました 。これは、投資適格債券や政府債券など、他の債券資産クラスと比較しても好ましい結果でした。 * 12カ月総配当利回り **オプション調整後スプレッド 出所:ICE BofA、S&P Dow Jones Index、FTSE Russell。2024年12月31日現在 経済指標等に応じて、2024年を通じて、米国ハイイールド債券市場における見通しに変化が見られました。実際、2024年に一貫して見られた傾向は、金利をめぐる見通しの変化でした。米国債利回りは、2024年年初の数カ月は堅調さを示す経済指標や粘り強いインフレに反応して上昇しましたが、4月のピークから夏を通じて徐々に低下し、さらに労働市場の軟化の徴候に注目が移ると、7〜9月期を通じて更に低下しました。昨年9月に、米連邦準備制度理事会(FRB)が予想を上回る50bp(ベーシスポイント)の利下げを実施したことは、債券市場には全般的に追い風となりました。特に、格付けが比較的低く、上昇する支払利息に苦しむハイイールド債券発行体にとっては救済となり、CCC格の発行体市場が2024年も他の比較的格付けの高い債券市場をアウトパフォームする一因となりました。 しかし、市場は、FRBが2025年に実施できる利下げ幅に影響を与える可能性がある米国大統領選挙の結果に注目したため、10〜12月期には利回りは再び反転し、上昇しました。市場がFRBのハト派的な姿勢に対して好意的に反応した2023年末とは対照的に、2024年末は、トランプ次期政権の政策アジェンダの影響、またインフレや金利の先行きに関する不透明感もある中で、市場ではタカ派的な見方が強まっていました。 米国ハイイールド債市場における2025年の主な注目ポイント トランプ政権がもたらす可能性のある影響。 2024年11月の米国大統領選挙の結果は、だれが勝利するかに関係なく、米国ハイイールド債券市場に直接的な大きな影響を与えることはないと想定していました。しかし、共和党が大統領職を制し、連邦上下両議会を掌握することになったという結果は、トランプ新大統領の政策プログラムを実施する上で同氏により大きな自由裁量を与えることになると見ています。この状況によって、これまで議会勢力が分裂していたためにワシントンでは政策の膠着状態が起こる可能性が比較的高いと見られていた時期に比べて、政策の詳細が明確になるにつれて、市場の反応がより強まる可能性があると見ています。以下では、米国ハイイールド債市場に起こり得る間接的影響を考察します。 低めながらもプラス成長のGDPは、ハイイールド債券にとって好環境を提供する。 現時点では、米国経済は今後数年間で緩やかな減速に向かうものの、大幅な景気後退は回避される見込みです。景気後退リスクが完全に排除されているわけではありませんが、以下の2つの簡略化したシナリオでこの状況下におけるハイイールド債券市場のパフォーマンスを考えてみます。 利下げ……どこまで、いつまで行うのか? 2025年には、FRBの微妙なバランス感覚に市場の注目が集まります。トランプ政権の政策の影響は別として、FRBの目標は、金融政策によってインフレを目標の2%に戻すのに十分な引締めを行う一方で、失業増加を引き起こすほどには引き締めないことです。現在(執筆時)の見通しに基づけば、2025年には若干の緩和の余地が残っていると見ていますが、金利が比較的長期間高止まりするリスクが増していると見えます。 米国のハイイールド企業の多くとその支払利息返済能力にとって、FRBが「利下げを開始した」という事実が重要であり、初期の利下げ規模やその後の利下げ速度、または緩和の規模自体はそれほど重要ではないと考えています。しかし、ハイイールド債券市場の中でも、比較的高い債務負担と過剰なレバレッジにすでに苦しんでいる比較的低格付けに分類される少数の企業にとっては、これらの要因は重要になると見ています。…
03/02/25