米国短期ハイイールド債を分散型の債券ポートフォリオの投資配分として重視すべき5つの理由
当社の米国ショート・デュレーション・ハイイールド戦略は、他にはない独自性を備え、明確に差別化された戦略です。2001年に運用を開始した当戦略は、ボラティリティの最小化、マイナスリターンの回避とともに、安定的かつ継続的なリターンの獲得を目的として運用しています。2001年の運用開始以来、当戦略は24暦年のうち22暦年でプラス・リターン(米ドルベース、手数料控除前と控除後のいずれも)を達成しています。また、四半期ベースでのネット・リターンは全期間の86%でゼロ以上であり、ハイイールド債市場に対するダウンサイド・キャプチャー・レシオ(市場全体の下落を100%としたときの下げ幅)は手数料控除後でわずか35%に留まっています1。2026年に入って投資家は、AIによる創造的破壊、プライベート・クレジット市場で表面化する亀裂、イラン情勢の緊迫化、インフレ圧力の再燃、さらには各国の財政懸念といった、一段と複雑化する難局に直面しています。こうした難局を乗り切る上で、当戦略の安定的かつ予測可能なパフォーマンスが有利に働くと当社は考えています。以下では、不確実性が高まる現在の投資環境において、当戦略が分散型資産配分の中で良好な投資価値を提供できる5つの主な理由について解説します。 1. ドローダウンの耐性と高い流動性の両立がもたらす幅広い選択の幅 図1は、2001年9月に当戦略が運用を開始して以来、ICE BofA USハイイールド指数が経験したドローダウン(一時的な最高値から安値までの下落率)のうち、下落率の大きかった4つの局面を示したものです。グラフが示すとおり、当戦略は米国ハイイールド債市場全体だけでなく、短期ハイイールド債や投資適格社債、レバレッジド・ローンの各市場を代表する他の指数との比較においても、ドローダウンを相対的に低く抑えています。 当戦略は下方リスクの抑制に加えて、市場において一定の流動性を確保することを目指しています。こうした流動性の確保は、当戦略がハイイールド債市場において3年以内に償還が見込まれる短中期債に重点を置いていることによって可能になると考えています。現在の米国ハイイールド債市場(時価総額約1.5兆米ドル)においては、約3分の1が当戦略の投資対象ユニバースに該当すると試算しています2。当戦略がより強固なバランスシートを有する信用力の高い銘柄を選好することによって、流動性の面での特徴はさらに強化されるものになるとみています。プライベート市場への資本配分が近年大幅に増加している状況を勘案すると、こうした流動性とドローダウン耐性を両立させることは軽視されるべきではなく、様々な経済シナリオにおいて投資家に選択の幅を広げることになると考えています。 図2は、当戦略が2025年初来、米国ハイイールド債市場全体や株価指数(S&P500およびラッセル2000)と比較してドローダウンをいかに最小化してきたかを示したものです。トランプ政権の関税政策や地政学的リスク、AIによる創造的破壊、そして金利変動に市場が左右された不安定な時期であったにもかかわらず、当戦略の最大ドローダウンは2.0%にとどまり、安値から22日間で元の水準を回復しました。これは米国ハイイールド債市場全体および各株価指数のいずれと比較しても優位な結果となりました。 2. 金利およびスプレッドのボラティリティへの対処 当戦略は、投資対象となる債券が3年以内に償還される想定であるため、原則的にデュレーションが短くなるほか、保守的な戦略であるためより信用力が高い銘柄を選好しています。「ショート・デュレーション」の定義に関する解釈が一定でないことを考慮すると、当戦略の特徴は他戦略と一線を画す重要な相違点となります。先行きが不透明な状況において、当戦略のアプローチはポートフォリオに一定の安定性をもたらすと当社は考えています。仮に、イラン情勢の緊迫化に伴うインフレ懸念から市場が期待に沿ったパフォーマンスを示さなかったり、利下げ観測が後退し続けたりする場合、当戦略には下方リスクを抑制することが期待されるとみています。一方で、直近の数年間のように市場が期待以上のパフォーマンスを示す局面において、当戦略はより低リスクのポジショニングでありながら、米国ハイイールド債市場の3年年率リターン(米ドルベース、手数料控除後、2025年12月現在)の78%まで追随(キャプチャー)しています3。総じて言えば、当戦略は様々な経済シナリオにおいてバランスの取れた収益機会を提供し、金利のボラティリティ(インフレの影響や政府の財政赤字をめぐる不透明感に起因)およびスプレッドのボラティリティ(景気や予想デフォルト率をめぐる不透明感に起因)の双方から投資家を保護することが可能であると考えています。 3. AIによる創造的破壊に対してショート・デュレーションがもたらす予測可能性 昨今、株式市場で生じたテクノロジー・ソフトウェア関連株のマルチプルの低下(PERやPBR等の企業評価指標における倍率の低下)が、公募債券市場におけるソフトウェア関連銘柄の無差別な売りに波及している様子が観測されています。これはAIがソフトウェア企業の提供する業務プロセスを破壊または完全に不要なものとすることで、これらの企業にとっての脅威となり得るのではないかとの懸念によって生じたものです。ソフトウェア関連銘柄へのエクスポージャーに対する懸念はプライベート・クレジット(ファンドなどを通じた融資)の市場にも混乱を招き、投資家による解約の引き金となっているようです。当社は、こうした状況が2026年の米国ハイイールド債市場およびレバレッジド・ファイナンス全般にとって重大なリスクであると同時にチャンスでもあるという見解を持っています。AIによる創造的破壊に対する懸念が一部の企業にとっては過剰であったとしても、事業を取り巻く不確実性によって債券の裏付けとなるエクイティ部分のクッションが少なくなってしまっているため、特に高レバレッジ銘柄における債券価格の再評価は正当なものであると考えています。 当戦略では、ソフトウェア・サービス・サブセクターの保有が5銘柄(図3参照、うち4銘柄は2026年3月31日時点で担保付き)にとどまっており、指数に対してアンダーウェイトとしています。これにより、AIによる創造的破壊の潜在的影響へのエクスポージャーに関しては相対的に優位なポジションを築いていると考えています。AIによる創造的破壊の影響分析は発行体ごとに大きく異なり、特定の投資対象セクター内でも影響度合いに大きなばらつきが生じる可能性があるとみています。こうした状況下では、AIによる創造的破壊が長期的に及ぼす影響が不確実性であるため、より短い時間軸における事業活動のリスクを分析した方が予測可能性は高く、ショート・デュレーションによる恩恵を享受できるものと考えています。それでもなお当戦略では、各発行体による借換えが確実に行われるよう、事業の一部でAIによる創造的破壊のリスクを抱えた銘柄を含むポートフォリオの全ポジションの収益、バランスシート、流動性、および資本市場へのアクセスを継続的に監視してまいります。 4. 短期的な償還対応を支える、良好な資金調達環境 直近の数年間において、米国ハイイールド債市場全体のデフォルト率は低水準で推移しています。これは強固なファンダメンタルズと、レバレッジド・ファイナンス市場全般にわたる堅調なテクニカル環境に支えられたものと思われます。2026年3月31日時点で、経営難に伴う債務交換を含む額面加重デフォルト率は2.1%(債務交換を除くと1.2%)であり、依然として過去25年間の平均値である3.2%を下回っています。当戦略においては、保守的なポジショニングと、2001年の運用開始以降に米国ハイイールド債市場で生じたデフォルトの大半を回避してきた(市場全体で705件に対し当戦略では2件)規律ある銘柄選択アプローチによって、デフォルトの発生をゼロに抑えることを目指しています4。 昨今、市場全体のデフォルト率が低水準にとどまっている主な要因は、発行体がレバレッジド・ファイナンス(ハイイールド債、レバレッジド・ローン、プライベート・クレジット)市場において多様な資金調達手段へのアクセスを有し、かつ経営難に陥った発行体に対してさえも財務的なソリューションが提供されやすい調達環境になっているためであると当社は考えています。長期債と比較した短中期債の取引状況を見ると、厳しい局面にある多くの資本構成において、現在の債券市場における潤沢な資金供給を背景とした「償還期間の短さに依拠した安心感」が一定程度見受けられます。当社はこうしたトレンドは、差し迫ったデフォルト・リスクがなく、十分な流動性やフリー・キャッシュ・フロー創出力、利用可能な追加的資金調達源、もしくは担保余力またはそのすべてを有する発行体の多くにとっては妥当なものであると考えています。それは、資本構成において、短中期債に対する手当てや借換えが実行されやすかった一方で、長期債に関しては十分に回復に至っていないためと考えています。 5.…
17/04/26
