新興国と発展途上国:エネルギーショックをどう乗り越えるか?
2022年(ロシアのウクライナへの侵攻開始)と同様、エネルギーショックは新興国および発展途上国に影響を与えるでしょう。今日(本稿執筆時)においても過去と同様に、このショックは、輸入国と輸出国間のマイナスサムゲーム(参加者全員の利益の合計がマイナスとなる状況)です。これは基本的に供給ショックですが、新興国の中央銀行は、インフレの急激な上昇を防ぐために、自国通貨の為替下落圧力に対抗する必要が生じた場合、金融政策を引き締める可能性があります。 しかし、2022年と比較すると、状況を緩和する要因がいくつかあります。 1. これまでのところ、農産物価格にショックは見られない 2. 人工知能(AI)が、特にアジア諸国にとって外部からの成長の原動力となっている 3. 予想されるインフレ加速に対応するため、米連邦準備制度理事会(FRB)は2022年当時よりも緩和的な金融政策スタンスを取ると予想される 公的財務の財政健全性と流動性及び対外収支の観点から見ると、新興国経済は2022年当時と比べて脆弱性が高まっているわけではありません。しかし、発展途上国の中には、依然として脆弱性を抱えている国もあります。エネルギー収支への影響は金利と為替相場に圧力をかけていますが、今のところその圧力は限られた範囲にとどまっています。 2022年のロシアによるウクライナへの軍事介入からほぼ4年たちましたが、新興国経済は同様の新たな外的ショック、すなわち原油・ガス価格の高騰と湾岸諸国からの供給途絶という事態に見舞われるかもしれません。 スタグフレーション・ショックは、価格上昇の大きさと紛争期間の長さの両方に左右されます。数週間の緊張状態が続いた後、新興国経済の成長とインフレにどのような影響が出るのでしょうか?財政状況はどのように影響を受けるのでしょうか?新興国経済は2022年当時と比べて脆弱性が高まっているのでしょうか、それとも低下しているのでしょうか? スタグフレーション・ショック 原油価格のシナリオについて、緩やかだが持続的な上昇であれ、急激だが一時的な上昇であれ、マクロ経済の試算では、純輸入国の経済成長へのマイナスの影響は、純輸出国経済へのプラスの影響をはるかに上回っています。 原油価格が緩やかだが持続的に上昇するシナリオでは、輸出国にとってプラスの影響はありません。実際、商品価格ショックは決してゼロサムゲームではありません。例えば、2022年の新興国・開発途上国の成長率は4.3%で、2021年の7%から低下しました。一方、2021年10月時点でのIMF(国際通貨基金)の予測では、わずか1.5%ポイント程度の減速(2021年6.4%から2022年5.1%)でした。 2022年と比較すると、今回のショックでは以下の3つの緩和要因が挙げられます。 第一に、石油・ガス価格の高騰は主要農産物(小麦、トウモロコシ、綿花、米)の価格には波及していない 第二に、アジア諸国は石油の供給途絶による直接的な影響を受けているものの、AIの発展によって他の新興国よりも大きな恩恵を受けている。このような成長の原動力は2022年にはなかった 最後に、たとえインフレが再び加速したとしても、米国で2022年と同規模の金融引き締めが行われる可能性は低いとみられている しかし、以下の3つのリスク要因に留意すべきでしょう。 インフレへの初期的な悪影響は、互いに部分的に相殺し合う可能性のある様々な要因から生じるでしょう。しかし、成長への影響とは異なり、エネルギー価格の上昇は輸出国と輸入国の両方に影響を与える可能性が高いとみています。 インフレへの直接的な影響は、以下の要素によって左右されます。 i) 物価指数におけるエネルギーの割合 ii) 米ドルに対する為替相場の変動…
18/03/26