人工知能:バブルではない… 少なくとも現時点では

人工知能(AI)は、インターネットの登場以来、最も大きな影響をもたらすデジタル・トランスフォーメーションのテーマです。2022年11月のChatGPTの一般公開が投資とイノベーションの波を一気に加速させましたが、その勢いは現在も衰えを見せていません。この新しい技術に対する期待が高まり、将来の可能性に大きな注目が集まる中、投資家や業界関係者の間では「AIはバブルに突入しているのか」という疑問も生じています。現時点での当社グループの結論は、少なくとも「今のところは」AI市場はまだバブルではない、というものです。一方で、リスクや、インターネットおよび通信業界のバブル期(いわゆる「ドットコム時代」)との類似点については、慎重にモニタリングを続けています。 リスクと類似点: ポジティブな側面として、現時点ではバブル局面には至っていないと当社グループが考える背景にはいくつかのバブルを抑制する要因も存在 現在の市場では、高い期待が寄せられているものの、バリュエーション倍率は妥当な範囲に収まっているとみています。10年前と比較して倍率が高くなっているのは、成長企業の利益率の向上や自己資本利益率(ROE)の改善を反映した結果といえると考えています。 インターネット/通信バブル期には、高い期待に対して極めて高いマルチプルが付与されていました。たとえば、1999年にはテクノロジーセクターのIPOにおける中央値の株価売上高倍率(P/Sレシオ)が43倍に急騰し、2000年にはさらに上昇して49.5倍に達していました。 総括すると、AI関連テーマは現時点ではバブルの領域には達していないと当社グループは考えています。AIを牽引する企業に対する期待は非常に大きいものの、バリュエーションは依然として妥当な範囲にあります。もっとも、今後に向けて複数のリスク要因が存在することも認識しており、支出サイクルにおける消耗期が訪れる兆候についても注意深く見守っています。また、この「軍拡競争」のような競争から勝者が現れるにつれ、業界の再編やディスラプションが徐々に進行する可能性もあります。引き続き、企業レベルにおけるボトムアップのファンダメンタル分析に注力し、競争優位の企業を見極め、逆にリスクの高い企業を避けることに努める必要があると考えています。そして、AIの普及が進展するなかで生じる様々な動向を、今後も継続的かつ緻密にモニタリングしてまいります。 [1] 出所: McKinsey & Company, March 2025. 「AIの現状:組織が価値獲得のために再構築する方法」