Bruno Bamberger

Bruno Bamberger

Co-Head of Fixed Income Investment Specialists

Bio

ブルーノ・バンバーガーは、ロンドンでアクサIMグループの債券スペシャリスト部門の共同責任者兼シニア・ソリューション・ストラテジストを務めます。

アクサIMグループが提供するバイ・アンド・メインテイン、ハイイールド、新興国債券、短期デュレーション、トータル・リターン等といった運用戦略の債券スペシャリストチームを率いています。また、世界各国の機関投資家向けに調整された債券運用ソリューションを設計し、また、顧客ポートフォリオにおける責任投資(主にネット・ゼロへの整合性や生物多様性)の戦略的導入において主導的な役割を担っています。

2011年にエーオン・ヒューイットで投資コンサルタントとして職務経歴を始め、その後、2013年にポートフォリオ・マネージャーとしてフィデューシャリー・マネージメント・チームに移りました。そこでは、小規模年金プラン向けの革新的な集団投資ソリューション、低リスク債券ファンドなど、確定給付年金プラン向けのファンド・オブ・ファンズの構築と運用に5年間従事しました。

その後、ウェルズ・ファーゴ・アセット・マネジメントで投資スペシャリストとして勤務し、2020年にアクサIMグループに入社しました。

ウォーリック大学で産業経済学の理学士号を取得しています。また、CFA資格保有者です。

2024年12月

Articles from Bruno Bamberger

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LDI と CDI の比較: ポートフォリオへの影響は?

機関投資家にとって、負債を管理し、長期的なキャッシュフローを確保し、市場のボラティリティ(変動性)を切り抜けることは永遠の課題でしょう。顧客のニーズは時間とともに変化するだけでなく、2022年に英国で経験したリズ・トラス首相(当時)のミニ予算とその後の債券市場の混乱のような極度の市場ストレスも、機関投資家のアプローチに影響を与える可能性があります。年金基金や保険会社の大半は、直面する特定のリスクを管理するために、結果志向型のソリューションを導入しています。 そのうちの2つのソリューションが LDI(負債連動型運用)と CDI(キャッシュフロー主導型投資)であり、これらは機関投資家によって、異なる財務目標とリスク属性に対応しながら特定の成果を達成するために利用されています。この市場が進化し、顧客のニーズを満たすために拡大するにつれて、LDI と CDI の性質に関していくつかの誤解が出現しました: 迷信1:どちらか一方の戦略しか使えない 「LDI」と「CDI」の頭字語は響きが似ており、リスク軽減に重点を置いていますが、それらの目的は異なります:その名が示すように、LDI の目的は、負債の金利感応度とインフレ感応度をヘッジし、資金積立水準の変動を緩和することです。 これは通常、高品質で流動性のある資産を、典型的には資産の額面金額に合わせて活用することを通じて実現させています。デリバティブは流動性とレバレッジを提供するために使用されることがあります。 逆に、CDI ポートフォリオの主な焦点は、ポートフォリオが保有債券から受け取るクーポンインカムなどの自然収入(ナチュラル・インカム)を通じて、必要な現金支給を行うことです。必要なときに現金を供給する必要があるため、投資適格社債のような、相対的に確実性の高いインカムをもたらすクレジット資産が選ばれます。クレジットの売買にはコストがかかるため、レバレッジは通常用いられません。 これらの違いを考慮すると、投資家は負債をヘッジするためのLDI ポートフォリオと、キャッシュフローを合致させるための CDI ポートフォリオの両方を利用することができ、この2つは相互に排他的なものではないことが明らかになります。実際に CDI ポートフォリオは金利エクスポージャー(金利へのかかわり度合い)をもたらすことから、既存の LDI ポートフォリオを持つ顧客にとって、LDI が抱える金利エクスポージャーのレバレッジ縮小と分散化に役立つ追加投資となる可能性があります。 下図は、機関投資家のニーズを満たそうとする目的で、幅広く資産クラスを組み合わせるとともに、両戦略をどのように組み合わせることができるかを示しています。 出所:アクサ IM、2025年5月30日現在。上記グラフは例証のみを目的としています 迷信2:どちらも同じ投資スキルセット(業務に必要な技術や知識等の組み合わせ)を必要とする 迷信1が述べているように多くの共通点がある一方で、これらの戦略を実行するための手段には大きな違いもあり、マネージャーに求められるスキルも異なります。明確な例として、ソブリン債(国債や政府機関債)との正確な合致に焦点を当てた LDI は、負債のキャッシュフローを正確にヘッジし、レバレッジによる担保と流動性を管理する能力につながります。これとは対照的に、CDI 戦略はクレジットの比重がはるかに重くなるため、クレジット調査とリスク管理、さらに発行市場と流通市場の両方で大規模なクレジット取引を行う能力が重要なスキルセットとなります。クレジット/発行体リスクの観点から監視すべき発行体の数に関する数値を示すと、LDI戦略の ポートフォリオはソブリンまたは準ソブリンから1件または数件の異なる発行体しか保有しないことが多いのに対し、CDI戦略に関連する世界のクレジットユニバースには2,500を超える発行体による20,000を超える債券があり、それぞれが固有のリスクを抱えています。 上記が LDI 運用者と…

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2025年は短期債券戦略が良好な投資機会になる可能性:その理由を考える

投資家の間では、数年前から短期債券市場への関心が高まっています。 それには3つの理由があるとアクサ・インベストメント・マネージャーズ・グループ(以下、アクサIMといいます)は考えています。 1:キャッシュからの資金移動 中央銀行による利下げの結果、キャッシュも利回りが低下しています。短期債券市場ではキャッシュよりも高いリターンを得られる見込みがあり、ボラティリティが低く、流動性も相対的に高いため、投資家にとって相対的に良好な選択肢になりうると見ています。 2:リスク調整後リターン 2022年に債券市場が大きく売り込まれて以降、多くの投資家は長期債券戦略のポートフォリオ見直しを進めています。その代わりとして投資家が注目しているのが短期債券戦略です。短期債券市場はその特性から、市場の変動が相対的に大きい場合のセイフヘイヴン(安全な避難場所)になる可能性があると見ています。これに加えて、イールドカーブ(利回り曲線)が比較的フラット(平坦、短期と長期の利回り差が比較的小さい状態)であるため、リスク調整後リターンと相対的に低いリスク属性という内在する組み合わせが、長期債券市場と比較した場合における短期債券市場の投資機会になっていると考えます。 3:アルファ(超過利益)を実現するための柔軟性 短期債券戦略はポートフォリオに落とし込む方法が数多くあり、そのおかげでアルファを実現することが可能になっています。セクターであれ、地域や資産クラスであれ、投資家のニーズを満たすために利用できる選択肢が多数存在します。 アクサIMには25年以上に及ぶ短期債券戦略の運用経験があり、債券市場のリスク領域全体にわたる幅広い戦略を提供しています。短期債券戦略は全てが同じということはなく、上に示した3つのポイント以外にも、投資家が様々な目標に取り組む際にも効果を発揮すると見ています。こうした目標と、そこで考えられる投資手法については、後ほど詳しく見ていきます。 2025年に短期債券戦略が良好な投資機会になる理由 投資家にとって、市場状況は大変厳しいものになっています。その主な原因は、トランプ政権の経済政策と、同政権が導入しようとしている関税がインフレや成長に与えうる影響への懸念にあります。短期債券戦略は、ポートフォリオの幅広い構成要素の中でディフェンシブ(景気や市場の動向に左右されにくい)な手段として利用することが可能であることから、現在(執筆時)の状況に適しています。 この理由としてはじめに挙げられるのは、インフレ率が中央銀行の目標に再び近づくにつれて、金利が低下し始めていることです。ただし、これには地域によって違いがあると見ています。米国連邦準備制度理事会(FRB)は現在のところ、トランプ政権の政策による経済への影響が更に明確になるまで様子を見るとしています。とはいえ、市場は引き続き利下げを予想しており、その場合は、短期債券戦略のパフォーマンスにとって有利になると見ています。 米国と比較すると、欧州では欧州中央銀行(ECB)はより積極的であり、現在は金利とインフレ率が同水準のため実質金利がほぼゼロになっています。短期的には、ECBが関税への対応として利下げを行うと、アクサIMは予想しています。これも債券市場にとっては追い風になるはずです。同様に英国でも一層の利下げが予想され、これも債券市場のトータルリターンの動向には有利に働くと見ています。 投資機会を求めて債券市場全体を見渡した場合、特に目立つのは、イールドカーブが比較的フラットだという点だと思います。つまり、短期債券市場と長期債券市場の利回り差が歴史的に見て極めて小さいということです。多くの場合、長期債券市場の方が金利感応度が高いため、ボラティリティ(変動)が大きくなります。現状では長期債券市場と短期債券市場の利回りに差が以前よりも縮小しているため、ボラティリティの小さい短期債券市場の投資機会が増していると見ています。より高い利回りを求める場合は、ハイイールド債券や新興国債券など、相対的に利回りの高い資産クラスの短期債券市場を利用することができると見ています。 短期債券市場にも中央銀行の金利政策が反映される傾向があると見ています。中央銀行は通常、今後の政策方針を示すガイダンスを公表しており、そのおかげでショックが軽減されています。ガイダンスによってその後の動向の見通しを立てやすくなり、利回りの安定化が図れると考えられます。しかし、イールドカーブの長期部分では影響する要因が短期部分よりも多いため、長期債券市場にはこれが当てはまりづらいと見ています。つまり期間の長い債券市場ほど、トータルリターンのボラティリティが大きくなると考えられます。 したがって、中央銀行が市場予想にない行動を起こさない限り、2025年は短期債券市場が投資家にとって相対的に良好な投資機会になると、アクサIMは予想しています。 目標を実現するための投資アプローチ 分散:アンコンストレインド(制約のない)グローバル短期債券戦略 短期債券戦略の配分にグローバルアプローチを採用する場合に重要になるのは、様々なセクター、地域、資産クラスに機動的な投資を行える柔軟性を確保することだと、アクサIMは考えています。 アクサIMのアンコンストレインド・グローバル短期債券戦略では、そうした柔軟性を活用して債券市場全体から最適なアイデアを採用しています。 これにより先進国市場から新興国市場まで、また様々な資産クラスや信用格付けの間で、幅広い分散投資を実現しています。 柔軟性のあるアプローチによって、投資家の分散投資が可能になるだけでなく、アクサIMにおいても市場の変化に対する戦術的な対応が可能になると、アクサIMは考えています。その一例として、2022年に行ったポンド建て投資適格市場への投資拡大があります。相対的に小規模な市場ですが、現地の専門的知見を活用すれば、機会を見つけ出すことが可能です。英国政府の「ミニ予算」(英国の春季予算)を受けて英国債券利回りが上昇し、クレジットスプレッド(債券の発行体の信用度の差による利回り差)が拡大した時点で、アクサIMは相対的に良好なバリュエーション(投資尺度)を利用する好機とみて、投資を拡大しました。 こうした理由から、グローバル短期債券戦略においては世界的全体から最適な機会を活用できるようにするため、アクティブな資産配分アプローチが重要になるとアクサIMは考えています。…

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債券戦略について2025年に考慮するべき5つの事柄

1. 債券は依然として相対的に良好な資産クラス 債券市場の利回りは従来の水準と比べて高くなっています。ブルームバーグ・グローバル総合インデックスの利回り水準は過去20年で78パーセンタイル*、過去10年で88パーセンタイル*となっています[1]。この資産クラスでのインカムの複利という特性から、投資開始時の利回りは長期的にプラスのトータルリターンと相対的に強い相関関係にあります。 *:パーセンタイル(小さいほうから順番に並べ、何パーセント目にあたるかを示す値) 先進国市場全体ではインフレ率は、新型コロナウイルス後に通常と比べ大きく上昇した後急速に低下し、経済成長は比較的低調ではあるものの、安定的に推移しています。このことは、アクサIMが2025年に実現すると予想している各中央銀行の利下げを裏付けるものであり、債券戦略にとってインカム以上にリターンを押し上げる可能性があると見ています。これは、債券市場価格の値上がり益、及び、各発行体のファンダメンタルズの強化が進むことによって発行体が直面している金利負担の上昇からの影響が弱まっていることの双方に由来するものと考えています。 長期的には金利の低下により、これらの債券から受け取るインカムは減少するでしょうが、10年前に見られた水準まで低下するとは予想していません。 総合的には利回りは依然として相対的に良好ですが、信用スプレッドはタイトであり、地政学的リスクや保護主義からの逆風および、比較的高利回りの環境が企業の財務状態に及ぼす遅発効果等を考慮に入れると、インフレの不確実性および信用リスクプレミアムの上昇からボラティリティが増大する可能性があります。ボラティリティが高くなる可能性のあるこの一年を乗り切る上で、債券戦略の投資対象内で配分と銘柄選択に柔軟なアプローチを取ることが非常に重要になると見ています。 2. 投資家はクレジットから国債に移ることを考えるべきでしょうか? 社債などのクレジット市場がどれだけ相対的に良好かを評価するための一般的な指標の一つに、国債に対するクレジットスプレッドがあります。米国の投資適格債券市場のスプレッドは、世界金融危機以前からの最低水準に近くなっています。米国のハイイールド債券市場も同様の水準になっています。欧州の投資適格債券市場とハイイールド債券市場は米国ほどタイトではないものの、長期的平均よりもタイトな状態です。このタイトなスプレッド状況は、国債に対する超過リターン獲得の可能性について、債券戦略にとっては警戒信号となると見ています。 しかしアクサIMは、債券市場の価格水準が概ね適正であると考えており、何か市場イベントが発生しない限り、比較的大きな価格下落が起こるとは予想していません。 各主要中央銀行の利下げ、企業の相対的に良好な財務状態、市場全体にわたる当面の財政刺激策は、良好なファンダメンタルズを維持し、投資適格債券市場やハイイールド債券市場にとって強力な支援になると見ています。ハイイールド債券市場に限って言えば、ライジングスター(ハイイールドから投資適格に格上げされた債券)の数がフォーリンエンジェル(投資適格からハイイールドに格下げされた債券)よりも多い傾向と、デフォルト率も比較的低い水準が続いています。米国市場では、ハイイールド債券の発行体の平均信用度が近年上がっており、一方で市場全体のデュレーションは下がっています。この状況は、構造的に信用スプレッドの縮小を下支えするものと見ています。 さらに、2024年から2025年初旬にかけて増加した債券発行数は、債券への配分を検討する投資家からの健全な需要と呼応してきました。多くの投資家が未だ様子見の態度を取り、信用スプレッドが広がるのを待って債券戦略に資金を配分しようと考えている可能性があると見ています。信用スプレッドが拡大した場合でも、これら投資家からの需要によって吸収され、スプレッドは再び縮小する可能性があると考えます。 とは言うものの、アクサIMはスプレッドがさらに縮小する余地はあまりないと見ており、このため投資適格債券市場やハイイールド債券市場が国債市場を上回る超過リターンは、現状のタイトなスプレッドの幅程度に制限されると見ています。 アクサIMは、債券市場の内で比較すると、信用力に敏感な投資適格債券市場およびハイイールド債券市場の幅広いセクターについて肯定的な見方をしています。 3. カーブのどこに最良の機会があるか イールドカーブは2023年から2024年にかけて逆イールド(短期利回りが長期利回りよりも高い状態)化が顕著に進んだ時期以降、現在(執筆時)順イールド(短期利回りが長期利回りよりも低い状態)のスティープ(急こう配)化が進んでいます。下の図に見られるように、米国、欧州、英国における10年国債の利回りは現在、各2年物に比べて概ね30ベーシスポイント(bp)高くなっています。これは過去の平均と比較すると小幅の追加利回りになります(80~100bpの差異)。 出所:アクサIM、ブルームバーグ、2025年1月22日付 リスク調整後のリターンを最大化しようとする投資家にとって、短期デュレーション債券戦略が相対的に良好に見えるのには以下の理由があります:…

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「なぜ、どのように」生物多様性を債券戦略に組み入れるのか

生物多様性の基本的な特徴の一つは、私たちの生活のあらゆる部分に生物多様性が関わっていることです。したがって、生物多様性の損失は様々な投資戦略にも影響を及ぼすと思います。特に債券については、投資家が意思決定に生物多様性を組み入れるべき重要な理由があると見ています。 第1に、生物多様性の損失は債券ポートフォリオのパフォーマンスに影響を及ぼしかねないリスクをもたらすと見ています。出発点として、気候変動と同様に、それがどういったリスクなのかを理解する必要があると思います。まず、生物多様性の損失や生態系の劣化による物理的なリスクがあります。次に、この問題に対処しようとする世界的取り組みに関連した移行リスクがあります。移行リスクには当然、責任リスクの増加が含まれる可能性があります。最後に、個々の発行体だけでなくセクター全体に影響を及ぼし得るインフレ効果などのシステミック・リスクがあります。 これらのリスクに積極的に対処せず、より持続可能で自然に優しい事業モデルを採用しない企業は、コストの上昇や売上の減少に直面し、その結果、将来の債務返済能力が低下するおそれがあると見ています。 債券投資家が行動を起こす必要があると考える第2の理由は、投融資活動の生物多様性フットプリント(活動が生物多様性にかける負荷)を削減して生物多様性への負のインパクトを軽減したいと考えるアセットオーナー(受益者から預かった資産を管理・運用し、運用益の獲得を目指す機関投資家)の関心の高まりです。同時に、グリーンボンドやブルーボンドのような生物多様性に直接焦点を当てた債券への投資でプラスのインパクトを生み出すことへの関心も高まっています 。 生物多様性条約と「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の推計によると、生物多様性の損失を食い止めるために年間1,500億ドルから4,400億ドルを生物多様性対策に割り当てる必要があります 。 しかし、アクサIMグループ(以下、アクサIMといいます)の見解では、民間部門の現在の資金フローは大海の一滴にすぎない程度にとどまっていると思います。この分野で行われるべきことがまだあるのは明らかで、金融市場の活用はこのギャップを埋めるのに有効であると考えます。債券は他資産クラスと比較して非常に巨大な資産クラスであるため、生物多様性フットプリントを削減するよう発行体に促すことによって意味のある変化を生み出すことができると見ています。 炭素排出量実質ゼロの投資家が生物多様性への配慮を必要とする理由 気候と生物多様性や社会的要因は密接に結びついており、一方を考慮せずに他方の改善を追求する価値はほとんどないと考えます。 より持続可能な経済へ有効に移行するには、環境リスクを総合的に評価することが重要と考えます。気候変動を投資に組み入れる際には、生物多様性や経済活動関連の社会的課題へのインパクトを考慮するため、ライフサイクルやバリューチェーン(供給網)の全体について分析するべきです。 ポートフォリオのリスクとインパクトの評価 債券投資家が生物多様性をどの程度考慮することができるかは、ポートフォリオ運用について信頼できる判断を下すための情報の入手可能性によって左右されます。生物多様性のデータを完全に利用できるわけではありません。ポートフォリオ・レベルでの意思決定に当たっては、この点を受け入れるべきであり、(生物多様性の)組み入れを開始する上での障害として捉えるべきではないと考えます。 債券の世界では、自然関連の解決に係る資金調達に特化した具体的商品がないため、生物多様性への取り組みはより複雑なものになります。それゆえ、アクサIMは長期的に資産価値を維持するためにリスク管理に注力しており、以下を行っています。 債券ポートフォリオへの生物多様性の組み入れ 債券投資戦略にとって有難いことに、債券ポートフォリオに生物多様性を組み入れることは可能です。アクサIMの戦略について言えば、複数の方法で生物多様性を投資手法に組み込むことができ、実際にそうしています。 すべての債券ポートフォリオで除外とエンゲージメントを通じて生物多様性リスクを考慮し軽減することができ、また、生物多様性関連の指標を監視し報告することも可能です。 生物多様性債券戦略を運用する場合、生物多様性リスクの組み入れをさらに一歩進めるにはいくつかの方法があると考えます。基本的な出発点は、生物多様性フットプリントが大きく、それを削減する意欲がほとんどない発行体をポートフォリオから遠ざけ、同じセクターにある企業のうち、リスクと影響を特定し、削減し、監視する企業にポートフォリオでの組入れを増やすことです。ここでは、発行体レベルの詳細な分析が重要になると見ています。 この戦略を運用する際に、ポートフォリオ内の生物多様性関連のリスクを軽減するため、債券の満期日(債券の元本が完済される日)を活用することもできます。例えば、天然資源への依存度が高い発行体や生物多様性フットプリントが多い発行体に関して、同戦略はより短い満期の債券にのみ投資し、発行体がリスクの軽減やフットプリントの削減に関して十分な進展やコミットメントを行った場合に限り再投資するという選択をすることができると考えます。 さらに、生物多様性に直接連動するブルーボンド、グリーンボンド、サステナブルボンドなど、調達資金使途が限定された債券を含む債券戦略への投資は、生物多様性を投資ポートフォリオに組み込む最も一般的な方法の一つです。サステナビリティ・リンク・ボンド(SLB)も同様です。これらの債券について以下で説明します。 加えて、市場で最も革新的な分野として、公的資金と民間資金を組み合わせることによって開発途上国向けの融資規模を拡大する混合金融があります。これに関しては、生態系の保護・回復に向けたコミットメントと引き換えに各国の債務再編を可能にする自然保護債務スワップ(debt-for-nature swap)が将来有望であると考えています。…

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